O-1 口腔乾燥症患者に対する唾液腺洗浄療法
目的:本研究の目的は, 生理食塩水による唾液腺洗浄療法が, 口腔乾燥症患者に対する一つの治療法として活用できるかどうか検討することである. 方法と対象;口腔乾燥症(シェーグレン症候群以外)と診断され, 本治療法に対して同意が得られた26名(男性9名;平均年齢73歳, 女性17名;平均年齢67歳)で, いずれも治療開始後6ヶ月以上経過している症例である. 対象患者の唾液分泌量は平均1.2g/2min(サクソンテスト)で, 強い自覚症状を有していた. 今回の洗浄療法は耳下腺に対するもので, 生理食塩水1mLを唾液腺カテーテルを用い急速注入し, その直後にマッサージで生理食塩水を口腔内へ排泄させると...
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Published in | 歯科放射線 Vol. 43; no. suppl; p. 29 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本歯科放射線学会
2003
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Summary: | 目的:本研究の目的は, 生理食塩水による唾液腺洗浄療法が, 口腔乾燥症患者に対する一つの治療法として活用できるかどうか検討することである. 方法と対象;口腔乾燥症(シェーグレン症候群以外)と診断され, 本治療法に対して同意が得られた26名(男性9名;平均年齢73歳, 女性17名;平均年齢67歳)で, いずれも治療開始後6ヶ月以上経過している症例である. 対象患者の唾液分泌量は平均1.2g/2min(サクソンテスト)で, 強い自覚症状を有していた. 今回の洗浄療法は耳下腺に対するもので, 生理食塩水1mLを唾液腺カテーテルを用い急速注入し, その直後にマッサージで生理食塩水を口腔内へ排泄させるというものである. 洗浄療法は1~2ヶ月間隔で施行した. 治療効果の判定は, 自覚症状に対するVASアンケートと, 唾液分泌量を測定するためのサクソンテストで行った. 検討した内容は, 治療前後における自覚症状の改善度, 唾液分泌量の改善度, 病悩期間と改善効果との関連性である. 統計分析はp<0.05を有意とした. 結果:自覚症状ならびに唾液分泌量は, 治療前に比べて有意に改善した. 26名中, 著効例(唾液分泌量が正常値に戻ったり, 改善度が200%を超える症例)は15例(65%)であった. 改善の様相は, 一気に正常値まで回復する症例もあったが, 低下と増加を繰り返しながら改善していく症例が多かった. 病悩期間と改善効果との関連性は認められなかった. 結論:患者の自覚症状, 唾液分泌量は共に改善しており, 唾液腺洗浄療法が口腔乾燥症に対する治療法として利用できる可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0389-9705 |