小照射野X線CTによる智歯と下顎管の位置関係についての検討

下顎智歯は解剖学的に下顎管と近接している為, 抜歯時の偶発症として留意しなければならない事が多い. 智歯の抜歯時の検査として口内法やパノラマX線写真などの術前検査が一般的であるが, その性質上, 3次元的な構造物である歯, 下顎骨の状態, 下顎管との位置関係の把握には限界がある. 本学放射線学教室が開発した歯科用小照射野X線CT(Ortho-CT)により, 智歯の抜歯にあたってより詳細な情報を得られることができる. しかし, 一般歯科診療所では未だ口内法やパノラマX線写真などの術前検査が一般的である. 我々は第9回関東・北日本合同地方会にて歯科用小照射野X線CTによる智歯と下顎管の位置関係は,...

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Published in歯科放射線 Vol. 41; no. suppl; p. 74
Main Authors 秋山裕, 新井嘉則, 荒木正夫, 橋本光二, 篠田宏司, 寺門正昭, 佐藤廣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 2001
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Summary:下顎智歯は解剖学的に下顎管と近接している為, 抜歯時の偶発症として留意しなければならない事が多い. 智歯の抜歯時の検査として口内法やパノラマX線写真などの術前検査が一般的であるが, その性質上, 3次元的な構造物である歯, 下顎骨の状態, 下顎管との位置関係の把握には限界がある. 本学放射線学教室が開発した歯科用小照射野X線CT(Ortho-CT)により, 智歯の抜歯にあたってより詳細な情報を得られることができる. しかし, 一般歯科診療所では未だ口内法やパノラマX線写真などの術前検査が一般的である. 我々は第9回関東・北日本合同地方会にて歯科用小照射野X線CTによる智歯と下顎管の位置関係は, 抜歯時の所見と比較し実態を正しく現していた事を報告した. 今回はこれらの症例について, 単純X線像での智歯と下顎管の関係について調べ, 前回の所見と合わせて検討したので報告する. 方法:智歯の抜歯を目的に本学口腔外科に紹介来院し, 下顎管との近接を認めた63人(男性32人, 女性31人, 平均年齢33.5歳)の75歯について, 症例ごとに口内法およびパノラマX線像での所見と, 歯科用小照射野X線CT像および抜歯時の所見とを比較した. 小照射野X線CT像にて, 連続した複数のスライス像で智歯と下顎管の距離が最も近接した部位において両者の距離が1mm以上離れていたものをAタイプ, 1mm未満から0mm, すなわち接するまでのもので下顎管壁が白線として認められるものをBタイプ, 同じく1mm未満から接するまでのもので下顎管壁が白線として認められないものをCタイプとした. 口内法及びパノラマX線像では智歯付近の下顎管壁が連続した白線として認められるものをタイプI, 下顎管壁が連続した白線として認められないものをタイプII, また併せて智歯付近での下顎管の走行も観察した. 結果:Cタイプでは多くの症例にて下顎管上壁の白線の連続性が失われていた. また, 智歯部において下顎管が下方に圧排して認められた症例では, Cタイプが多く見られた.
ISSN:0389-9705