pQCTの使用経験と有用性について

我々はこれまで, 海綿骨の骨構造が骨強度に及ぼす影響を画像工学的に解析し報告してきた. 今回は, 皮質骨と骨強度との関係を明らかにする目的でpQCTの使用による解析を行い, 皮質骨の形態および骨密度と骨強度の関係を報告した. 実験対象には10週齢ICR系マウスを用い, 卵巣摘出により作製した骨粗鬆症マウス(OVX)と偽手術マウス(Sham)の2群に分け, 普通飼料自由摂取で6週間飼育した. 6週間後大腿骨の摘出を行い, 遠位骨端部の成長軟骨から近心方向へ7.2mmの位置を骨幹部, 1.2mmの位置を骨端部とし, 動物研究用pQCT骨密度測定装置(XCT Research SA, 独国ストラテッ...

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Published in歯科放射線 Vol. 41; no. 2; pp. 140 - 141
Main Authors 若林克, 中村貢治, 櫻井孝, 鹿島勇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 2001
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ISSN0389-9705

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Summary:我々はこれまで, 海綿骨の骨構造が骨強度に及ぼす影響を画像工学的に解析し報告してきた. 今回は, 皮質骨と骨強度との関係を明らかにする目的でpQCTの使用による解析を行い, 皮質骨の形態および骨密度と骨強度の関係を報告した. 実験対象には10週齢ICR系マウスを用い, 卵巣摘出により作製した骨粗鬆症マウス(OVX)と偽手術マウス(Sham)の2群に分け, 普通飼料自由摂取で6週間飼育した. 6週間後大腿骨の摘出を行い, 遠位骨端部の成長軟骨から近心方向へ7.2mmの位置を骨幹部, 1.2mmの位置を骨端部とし, 動物研究用pQCT骨密度測定装置(XCT Research SA, 独国ストラテック社製)を使用して解析を行った. 撮像条件は, スライス厚500μm, ピクセルサイズ80×80μmに設定した. 各画像における皮質骨骨密度と形態指標である皮質骨厚, 皮質骨内膜周囲長, 外膜周囲長を測定し, 形態と骨密度を加味した骨強度指標であるPolar-SSIを求めた. 骨幹部と骨端部で測定部位による形態変化と骨密度変化の違いを確認し, Polar-SSIとの関係を検討した. また, ShamとOVXの群間比較はStudent's t-testにより行った. 骨幹部, 骨端部の両部位における形態の変化は共に, 皮質骨内膜周囲長の増加に伴う皮質骨厚の減少が主体であった. 皮質骨骨密度と皮質骨厚の相関が強い骨幹部(r=0.846)では, Polar-SSIに対して骨密度(r=0.771)と皮質骨厚(r=0.731)がほぼ同等に相関した. しかしながら, 皮質骨骨密度と皮質骨厚の相関が骨幹部に比べ弱い骨端部(r=0.666)では, Polar-SSIに対して骨密度(r=0.335)よりも皮質骨厚(r=0.889)に強い相関を示した. また群間比較において, OVXはShamと比べ骨密度に有意な差を認めなかったが, OVXは骨端部において皮質骨厚の著明な減少と骨強度指標であるPolar-SSIの著明な減少を認めた. これらの結果から, 皮質骨の強度は, 形態と骨密度の両者に依存しており, 両者における因果関係は測定部位の特徴により異なることが示唆された.
ISSN:0389-9705