初診時頚部転移リンパ節を有する進行頭頚部癌に対する放射線化学療法

〔目的〕 初診時に頚部リンパ節を伴う進行頭頚部癌に対して行っている放射線化学療法についてその治療成績を検討する 〔対象〕 1996年4月より2000年3月までに初診時の画像診断および触診にて頚部リンパ節転移が強く疑われ愛知県がんセンター放射線治療部にて放射線化学療法を受けた頭頚部癌患者32名. (年齢は75歳以下, PS0~2, 腎臓・肝臓の機能に問題がなく, 初診時遠隔転移のない者) 〔方法〕 放射線と化学療法を交互で実施し照射線量は原発巣およびリンパ節に60Gyを目標とした. 化学療法は5Fuを治療第1~5日に700mg/平方メートル/day, nedaplatinを治療第6日に120mg...

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Published in歯科放射線 Vol. 40; no. suppl; p. 110
Main Authors 木村泰男, 不破信和, 杉浦一考, 有地淑子, 中村卓, 有地榮一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 2000
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ISSN0389-9705

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Summary:〔目的〕 初診時に頚部リンパ節を伴う進行頭頚部癌に対して行っている放射線化学療法についてその治療成績を検討する 〔対象〕 1996年4月より2000年3月までに初診時の画像診断および触診にて頚部リンパ節転移が強く疑われ愛知県がんセンター放射線治療部にて放射線化学療法を受けた頭頚部癌患者32名. (年齢は75歳以下, PS0~2, 腎臓・肝臓の機能に問題がなく, 初診時遠隔転移のない者) 〔方法〕 放射線と化学療法を交互で実施し照射線量は原発巣およびリンパ節に60Gyを目標とした. 化学療法は5Fuを治療第1~5日に700mg/平方メートル/day, nedaplatinを治療第6日に120mg/平方メートル静脈より投与し治療第7日より照射を開始した. 30Gy/15frの時点で照射を一次中断し化学療法の2クール目を施行の後, 照射を再開した. 外照射線量は平均60.4Gy(45~70.8Gy)であった. 平均経過観察期間は18.2ヶ月(3~41ヶ月)である. 〔結果〕 全例が目的とする線量の照射と2クールの化学療法が可能であった. 一次効果は原発巣に対してはCR27/31(87%), PR4/31(13%)であり奏効率は100%であった. 頚部リンパ節ではCR25/32(78%), PR2/32(6%)で奏効率は84%であった. kaplan-meier法による原発巣制御率(2年)は80.6%で, 頚部リンパ節の制御は原発巣の制御されたものでは92.0%, 全体では81.3%であった. 全例の累積生存率(2年)は78.1%であった. 〔まとめ〕 5Fu, nedaplatinを用いた化学療法併用放射線治療は原発巣だけでなく頚部リンパ節に対しても一定の効果が期待できるものと思われる. 今後も厳重な経過観察症例を行うとともに症例を蓄積していきたい.
ISSN:0389-9705