頬粘膜癌の放射線治療成績

目的:頬粘膜癌は口腔癌のなかでも, その発生頻度は10%と低い. しかし, 比較的早期であれば機能と形態の温存が可能な放射線治療が有効であり, その役割は大きいといえる. 我々は愛知県がんセンター放射線治療部において放射線治療を行なった頬粘膜癌患者を対象に, 局所制御, 予後等を明らかにする目的でretrospectiveに検討を行なった. 対象と方法:1965年1月より1999年3月までに根治的照射を行なった頬粘膜扁平上皮癌新鮮例53例を対象とした. 男性30例, 女性23例であり, 年齢29~86歳(中央値65歳)であった. 1997のUICC分類では, I期6例, II期28例, III...

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Published in歯科放射線 Vol. 40; no. suppl; p. 71
Main Authors 杉浦一考, 不破信和, 木村泰男, 有地淑子, 有地榮一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 2000
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ISSN0389-9705

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Summary:目的:頬粘膜癌は口腔癌のなかでも, その発生頻度は10%と低い. しかし, 比較的早期であれば機能と形態の温存が可能な放射線治療が有効であり, その役割は大きいといえる. 我々は愛知県がんセンター放射線治療部において放射線治療を行なった頬粘膜癌患者を対象に, 局所制御, 予後等を明らかにする目的でretrospectiveに検討を行なった. 対象と方法:1965年1月より1999年3月までに根治的照射を行なった頬粘膜扁平上皮癌新鮮例53例を対象とした. 男性30例, 女性23例であり, 年齢29~86歳(中央値65歳)であった. 1997のUICC分類では, I期6例, II期28例, III期17例, IV期2例であった. T分類別ではT1:6例, T2:33例, T3:13例, T4:2例であり, 初診時N1は8例, N2は2例であった. 外照射は60Co-γ線, 6MVX線, 電子線(6~16MeV)を用い20.0~78.0Gy(中央値62.0Gy)照射を行なった. 222-RN seed, 198-Au grainによる組織内照射を15例に用い, 39.7~87.7Gy(中央値50,6Gy)の照射を行なった. 全身化学療法が4例, 選択的動注化学療法が6例に併用された. 結果:病期別の累積生存率は, I期 83.3%, II期 79.3%, III期+IV期 15.8%であり, 無再発生存率は, I期 66.7%, II期 65.5%, III期+IV期 10.5%であった. 原発巣制御率はT1 100.0%, T2 63.7%, T3+T4 15.8%であった. 結論:頬粘膜癌はI期, II期症例であれば放射線治療の根治性は極めて高く機能と形態の温存が可能な放射線治療のよい適応であると考えられた. しかし, III期, IV期の進行例に対する治療成績は十分ではなく, 今後, 手術や化学療法との併用を考慮する必要がある.
ISSN:0389-9705