ラット大腿骨海綿骨における局所的急性放射線障害の早期検出に関する検討

目的:高線量放射線照射にともなう海綿骨の急性放射線障害の早期診断に有用な画像工学的手法を確立すること. 対象と方法:急性放射線障害のモデル作成にはウィスター系ラット雄15週齢(n=10)を用い, 右側大腿骨に6MVのX線30Gyの一回照射を行い, 急性放射線障害モデルを作成した. 照射に使用した装置はLinear Accelerator HL1500(PHILIPS)である. 照射後, 1週間間隔で計4回, マイクロフォーカス管X線撮影装置とコンピューテッドラジオグラフィー(CR)による拡大撮影を行った. 撮影条件は30kVp, 90mA, 15sec, FOD15cm, FIPD33cmとし...

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Published in歯科放射線 Vol. 40; no. suppl; p. 45
Main Authors 清原士朗, 櫻井孝, 鹿島勇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 2000
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ISSN0389-9705

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Summary:目的:高線量放射線照射にともなう海綿骨の急性放射線障害の早期診断に有用な画像工学的手法を確立すること. 対象と方法:急性放射線障害のモデル作成にはウィスター系ラット雄15週齢(n=10)を用い, 右側大腿骨に6MVのX線30Gyの一回照射を行い, 急性放射線障害モデルを作成した. 照射に使用した装置はLinear Accelerator HL1500(PHILIPS)である. 照射後, 1週間間隔で計4回, マイクロフォーカス管X線撮影装置とコンピューテッドラジオグラフィー(CR)による拡大撮影を行った. 撮影条件は30kVp, 90mA, 15sec, FOD15cm, FIPD33cmとし2.2倍の拡大撮影を行った. さらにHIC上において10倍の補間拡大を行った. 撮影されたCR原画像は経験年数5年以上の7人の歯科医師により経時的な海綿骨の変化の有無が視覚評価された. また放射線障害部のX線透過性の変化をhigh resolution image consoleを用いてquantum level値の変動として測定した. その後, CR原画像にWarkstationでMorphology処理を行い, 2値画像として海綿骨骨格構造を抽出した. 抽出された2値画像に対しても同様に視覚評価を行った. さらに2値画像に対しStar volume法を応用し, 骨格構造の変化に対する定量化を行った. ロイ中の骨格成分の割合を示すpixel percentageとして, また骨の骨格腔体積と非骨格腔体積をVskとVspとして計測した. また, 最終的に高線量放射線照射による海綿骨および骨髄の変化を組織切片を作製し確認した. 結果:急性放射線障害モデルにおける大腿骨の変化は, 海綿骨の変化およびQL値の変動として検出された. 一方, Morphology処理とStar volumeの組み合わせによる解析では照射から2週間程度で変化が認められるようになり, Vsk値の低下とVsp値の上昇として検出された. 照射4週後の組織所見では, 対照側では海綿骨の骨梁の中に血球成分に富んだ骨髄が認められるのに対し, 実験側では海綿骨の骨梁はほとんど消失し, 骨髄成分は血球成分に乏しい脂肪髄に置換されていた. 結論:Morhology処理とStar volumeの組み合わせによる画像工学的解析法は, 高線量照射による骨梁の変化を早期に検出する解析法として有用であることが示唆された.
ISSN:0389-9705