顎下腺病変のMR診断
目的:MRIによる顎下腺の正常および異常像の評価 対象および方法: 1) 正常MR像の評価 別の病名でMRを撮影した(上顎洞炎5例, 上顎の歯原性角化嚢胞11症例, 術後性上顎嚢胞6症例)臨床的に顎下腺に異常のない22症例(女性:12名, 男性:10名, 22歳~54歳, 平均年齢:42歳)の正常MR像をSpin echo T1(363/29), T2(300/120), T1-Gd-DTPAにて顎下腺の信号強度を評価した. 2) 顎下腺病変のMR像の評価 顎下腺病変を疑いMR検査を施行した34症例のうち, 病理学的に診断された21症例の顎下腺病変(多形性腺腫5例, 血管腫2例, 悪性リンパ腫...
Saved in:
Published in | 歯科放射線 Vol. 39; no. suppl; p. 101 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本歯科放射線学会
1999
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0389-9705 |
Cover
Summary: | 目的:MRIによる顎下腺の正常および異常像の評価 対象および方法: 1) 正常MR像の評価 別の病名でMRを撮影した(上顎洞炎5例, 上顎の歯原性角化嚢胞11症例, 術後性上顎嚢胞6症例)臨床的に顎下腺に異常のない22症例(女性:12名, 男性:10名, 22歳~54歳, 平均年齢:42歳)の正常MR像をSpin echo T1(363/29), T2(300/120), T1-Gd-DTPAにて顎下腺の信号強度を評価した. 2) 顎下腺病変のMR像の評価 顎下腺病変を疑いMR検査を施行した34症例のうち, 病理学的に診断された21症例の顎下腺病変(多形性腺腫5例, 血管腫2例, 悪性リンパ腫2例, 腺様嚢胞癌1例, 扁平上皮癌1例, 急性顎下腺炎2例, 慢性顎下腺炎8例)を対象とした. 使用したMRI装置は0.2Teslaの永久磁石型装置(Magnetom P8 Plus, Siemens-Asahi Meditech., Tokyo)であり, 使用コイルは頭部専用コイルを用いた. 顎下腺病変のMR評価は2名の放射線科医にて病変の検出, 病変の境界, T1およびT2による信号強度, Gd-DTPAによる造影効果の評価をした. なおMRの信号強度は周囲の脂肪, 筋肉, 脳脊髄液と比較し信号強度を検討した. 結果: 1) 正常MR像の評価 すべての正常顎下腺はT1, T2共に周囲筋肉より信号強度が高く(22/22), 周囲の表層脂肪より信号強度が低かった(22/22). 造影後, ゆるやかな造影効果がみられた. 2) 顎下腺病変のMR像の評価 すべての顎下腺病変はT1強調像で顎下腺よりも信号強度が低く(21/21), T2強調像で中~高信号(8/11), または高信号(3/11)であった. 良性腫瘍は病巣の境界が明瞭であり(6/7), 悪性腫瘍は病巣の境界が不明瞭であった(3/4). 病巣の境界は病理学的所見とよく一致していた. 慢性顎下腺炎8例はT2強調像にて正常顎下腺よりやや信号が低く, 病理組織学的には線維化や変性がみられた. まとめ:MRIは顎下腺の正常および異常像の抽出が可能であり, 有効な診査法であると示唆された. |
---|---|
ISSN: | 0389-9705 |