食物の硬さと嚥下機能との関連

われわれはすでに食物の物性と嚥下しやすさとの関連を予備的に検討し, 検査食の硬さによって, 誤嚥の重症度が変わってくる可能性があること, 一種類の検査食では明らかにならなかった軽度の嚥下機能障害も, 検査食の硬さを変えることによって, 描出できる可能性があることを示した. しかし, 前回の報告では検査食の種類が少なく, 付着性にもばらつきがあったため, 硬さと嚥下機能との関連を十分には検討できなかった. そこで今回は食物の硬さと嚥下機能との関連をより詳細に検討する目的で, 硬さの異なる6種類の検査食を開発した. 検査食品の開発にあたっては, まず嚥下障害者に適していると考えられ, 病院内で使用...

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Published in歯科放射線 Vol. 38; no. suppl; p. 104
Main Authors 道脇幸博, 横山美加, 小沢素子, 平野薫, 高橋浩二, 道健一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 1998
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ISSN0389-9705

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Summary:われわれはすでに食物の物性と嚥下しやすさとの関連を予備的に検討し, 検査食の硬さによって, 誤嚥の重症度が変わってくる可能性があること, 一種類の検査食では明らかにならなかった軽度の嚥下機能障害も, 検査食の硬さを変えることによって, 描出できる可能性があることを示した. しかし, 前回の報告では検査食の種類が少なく, 付着性にもばらつきがあったため, 硬さと嚥下機能との関連を十分には検討できなかった. そこで今回は食物の硬さと嚥下機能との関連をより詳細に検討する目的で, 硬さの異なる6種類の検査食を開発した. 検査食品の開発にあたっては, まず嚥下障害者に適していると考えられ, 病院内で使用されている33種類の食品のテキスチャー特性を検討し, これを物性の特徴によってグループ分けした. 今回は, 付着エネルギーの低い食材で, 硬さの異なる6種類の検査食を試作した. 検査食の基材は寒天とプルランで, 血管造影剤イオパミドールを1/2濃度含んでいる. さらに味と匂いを改善するためにフレーバーを入れた. 今回開発した検査食では, 付着性は124J/立方メートル以下とし, 硬さのみ変えた. 各検査食の硬さはそれぞれ検査食1で220N/平方メートル, 検査食2で653N/平方メートル, 検査食3は2900N/平方メートル, 検査食4は7490N/平方メートル, 検査食5は10900N/平方メートル, 検査食6は18600N/平方メートルである. これらの検査食を飲み込むときの嚥下動作をX線ビデオ透視法にて撮影し, 得られた画像をパーソナルコンピュータに取り込んで, 定性的(喉頭蓋谷, 梨状陥凹, 喉頭前庭への貯留の程度), 定量的な分析(喉頭挙上開始時間, 咽頭通過時間, 輪状咽頭筋反応時間)を行い, 健常者と嚥下障害者との比較を行って報告する.
ISSN:0389-9705