COMMCAT IS-2000 Imaging Systemによる下顎骨断層エックス線撮影法の基礎的研究

目的:近年, 顎骨横断面の撮影が可能である断層撮影装置が開発されている. COMMCAT IS-2000は, 被検者の歯列模型をスキャンし断層面を決定できる特徴がある. そこで我々は, 本装置を下顎骨横断面形態の評価に用いるための基礎的な検討を行った. 方法:(実験1)スライス厚さの変化に伴う照射線量および写真画質の変化. 線量測定装置のプローブを下顎中切歯相当部に固定し, 断層厚さを1, 2, 3, 6, 15mmに変えてスライスした際の照射線量を測定した. また, ヒト乾燥下顎骨の側切歯, 第一小臼歯, 第一大臼歯の3カ所を断層厚さを変えて撮影したX線写真の画質を評価した. (実験2)スラ...

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Published in歯科放射線 Vol. 38; no. suppl; p. 90
Main Authors 東海林理, 白倉義之, 星野正行, 斉藤博樹, 守口斉, 小豆嶋正典, 坂巻公男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 1998
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Summary:目的:近年, 顎骨横断面の撮影が可能である断層撮影装置が開発されている. COMMCAT IS-2000は, 被検者の歯列模型をスキャンし断層面を決定できる特徴がある. そこで我々は, 本装置を下顎骨横断面形態の評価に用いるための基礎的な検討を行った. 方法:(実験1)スライス厚さの変化に伴う照射線量および写真画質の変化. 線量測定装置のプローブを下顎中切歯相当部に固定し, 断層厚さを1, 2, 3, 6, 15mmに変えてスライスした際の照射線量を測定した. また, ヒト乾燥下顎骨の側切歯, 第一小臼歯, 第一大臼歯の3カ所を断層厚さを変えて撮影したX線写真の画質を評価した. (実験2)スライス位置の精度. ヒト乾燥下顎骨の側切歯, 第一小臼歯, 第一大臼歯に直径1mmの金属ピンを固定し, その上から印象することで得られた模型をスキャンした. そしてディスプレー上でピンの直上とその1mm近心および遠心の3点, 合計9点にスライスラインを引き, 骨を2mmの断層厚さでスライスした. (実験3)写真の寸法精度. ウシ乾燥下顎骨に金属ピンを1本固定し, ピンの直上を厚さ2mmでスライスを行った後に, 骨の頬舌幅と高さを実測値とX線写真の計測値で比較した. 結果:(実験1)1, 2mmでスライスした場合の照射線量は高かったが, 3, 6, 15mmでは低くほぼ同一だった. 写真画質は断層厚さが薄いほど良好であったが, 3mmのスライスで骨形態の評価が十分可能であった. (実験2)すべての対象歯において3スライスのいずれかにピンが写し出されていた. (実験3)実測値と写真計測値の差の割合は頬舌幅では0.46~3.62%, 高さでは0.40~3.97%であった. 結論:本装置を用いて下顎骨横断面の断層を行う場合, 画質および局所的な被曝量を考慮すると3mm厚さでの撮影が望ましいと思われた. またスライス位置の精度と写真の寸法精度が高いため, 本装置は下顎骨形態の評価に有効であると考えた.
ISSN:0389-9705