BMP-2(骨形成因子)が放射線照射した筋芽細胞の骨芽細胞への分化に及ぼす影響
目的:Bone Morphogenetic Protein(BMP)は筋組織に埋入すると骨形成を誘導し, 異所性骨化を起こす. また, 培養筋芽細胞であるC2C12細胞に, BMP-2を添加すると筋への分化が抑制され, 骨芽細胞へ分化する事が報告されている. 本実験ではC2C12細胞の分化に及ぼす放射線の効果を検討し, さらに照射した細胞にBMP-2を添加して, 骨芽細胞への分化誘導が起こるかを解析することを目的とした. 方法:実験に用いたC2C12細胞はマウス骨格筋より樹立され, 培養日数に伴って分化し, 筋管を形成する筋芽細胞株である. 1)C2C12細胞の分化に及ぼす放射線の影響;培養1...
Saved in:
Published in | 歯科放射線 Vol. 38; no. suppl; p. 77 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本歯科放射線学会
1998
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0389-9705 |
Cover
Summary: | 目的:Bone Morphogenetic Protein(BMP)は筋組織に埋入すると骨形成を誘導し, 異所性骨化を起こす. また, 培養筋芽細胞であるC2C12細胞に, BMP-2を添加すると筋への分化が抑制され, 骨芽細胞へ分化する事が報告されている. 本実験ではC2C12細胞の分化に及ぼす放射線の効果を検討し, さらに照射した細胞にBMP-2を添加して, 骨芽細胞への分化誘導が起こるかを解析することを目的とした. 方法:実験に用いたC2C12細胞はマウス骨格筋より樹立され, 培養日数に伴って分化し, 筋管を形成する筋芽細胞株である. 1)C2C12細胞の分化に及ぼす放射線の影響;培養1日, 2日及び3日目に4Gy, 8Gyのエックス線を1回照射し, それぞれの群において培養4, 7, 10日目に形成された筋管数をmyosinの免疫染色により調べた. 2)BMP-2による放射線照射したC2C12細胞の骨芽細胞への分化誘導;C2C12の培養2日目(コンフルエンス)に4Gy, 8Gy照射後, 直ちにBMP-2(300ng/ml)を添加して, 6日間培養後の筋管形成数および骨芽細胞分化マーカーとしてALP(alkaline phosphatase)活性を測定し, 細胞の分化を検討した. 結果:1)筋管の形成に及ぼすエックス線の影響;培養4日後, 7日後の筋管形成数は照射により減少したが, 10日後における筋管形成数はコントロールと同様のレベルに回復した. 2)BMP-2による放射線照射したC2C12細胞の骨芽細胞への分化誘導;非照射のC2C12細胞にBMP-2を添加すると, 筋管数が減少し, ALP活性が増加した. また照射したC2C12細胞においてもBMP-2添加により筋管形成が抑制され, ALP活性の増加が認められた. 考察:1)放射線は筋管形成を抑制したが, その影響は培養日数に伴い回復した. 2)照射群のC2C12細胞でも, 骨芽細胞への分化が誘導された. これらの結果から放射線照射した筋組織においても, BMP-2により, 骨芽細胞の分化が誘導される可能性が示唆された. |
---|---|
ISSN: | 0389-9705 |