MRI円形表面コイルの信号強度減衰の補正について

円形表面コイルは, 局所のMR撮像に適しており, 歯科の領域では特に顎関節部の撮影で広く用いられている. その信号強度は, コイルの中心から離れるに従い減衰している. このため, スライス間, 組織間での信号強度の比較が困難である. 信号強度の減衰を補正し, 体表面に張り付けた基準物質との信号強度比が出せれば, 信号強度の組織間での比較検討や, 個体間での比較検討が可能になると考えられる. 目的:円形コイルの信号強度補正の可能性を明らかにすることを目的として, 理論式に基づく信号強度減衰と, 均一ファントムを撮影した場合の信号強度減衰とを比較検討した. 装置・方法:1.5T MR撮像装置と,...

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Published in歯科放射線 Vol. 38; no. suppl; p. 72
Main Authors 西山秀昌, 松村聡子, Peter Benedek, 阿部真土, 前田隆史, 柿本直也, 徳岡修, 渕端孟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 1998
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Summary:円形表面コイルは, 局所のMR撮像に適しており, 歯科の領域では特に顎関節部の撮影で広く用いられている. その信号強度は, コイルの中心から離れるに従い減衰している. このため, スライス間, 組織間での信号強度の比較が困難である. 信号強度の減衰を補正し, 体表面に張り付けた基準物質との信号強度比が出せれば, 信号強度の組織間での比較検討や, 個体間での比較検討が可能になると考えられる. 目的:円形コイルの信号強度補正の可能性を明らかにすることを目的として, 理論式に基づく信号強度減衰と, 均一ファントムを撮影した場合の信号強度減衰とを比較検討した. 装置・方法:1.5T MR撮像装置と, 付属の顎関節用MRI 3インチ円形デュアルフェイズド・アレイ・コイルを用い, QA用として本体に付属している直径170mmの球形ファントムをTR=250, TE=8のスピンエコー法を用いて撮像した. 撮像時のコイルの位置を求めるために, コイル外壁面に水を入れた直径1mmのチューブを張り付けた. 円形コイルで受信される信号強度の算出にjava1.1.2を使用した. 理論的な信号強度の減衰曲線の倍率を, 計測値の信号減衰の散布図と肉眼的に一致するようにして決定し, 両者の差を求めた. 結果:計測値の理論値からのずれの大きさは, 信号強度に対して平均で8.1%, 最大72.4%となった. 関心領域として, コイル中心を原点とした円筒座標系で, 半径50mm, コイル面からの距離50mm以内に限定した場合, 平均1.4%, 最大21.4%となり, 同じく半径, 距離を40mm以内としたときには, 平均1.2%, 最大15.9%となった. コイルをエックス線撮影した結果, 扁平な形状で, 理論式で扱っている線状のコイルと異なっており, 関心領域を限定した場合に精度が上昇する原因と考えられた. 補正精度を上げるためには, 扁平なコイルに対する理論式の修正を行う必要があると考えられた. 結論:表面コイルを用いた信号強度の補正は, 領域を限定することで可能であることが示唆された.
ISSN:0389-9705