MRIにおける金属アーチファクトの検討

目的:MRIにおける金属アーチファクトについては, 金属の成分や種類についての報告は多数みられるが, MRIの撮像条件についての検討はほとんどみられない. 特に近年の高速撮像法の進歩により, 撮像条件が異なる種々の撮像法が開発されているが, それらに対する金属アーチファクトの検討はいまだに乏しい. 本研究の目的は, GE法のflip angleの変化によるアーチファクトの大きさについて, ファントーム実験にて検討することである. 材料および方法:本実験に使用したファントームは一辺20cmの中空の立方体であり, 立方体中央に直径1.0cmの円柱棒の先が位置するように設定した. 外壁および円柱棒は...

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Published in歯科放射線 Vol. 38; no. suppl; p. 71
Main Authors 山城光明, 金田隆, 南学, 小澤薫, 大城秀信, 小澤康之, 鈴木宏巳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 1998
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ISSN0389-9705

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Summary:目的:MRIにおける金属アーチファクトについては, 金属の成分や種類についての報告は多数みられるが, MRIの撮像条件についての検討はほとんどみられない. 特に近年の高速撮像法の進歩により, 撮像条件が異なる種々の撮像法が開発されているが, それらに対する金属アーチファクトの検討はいまだに乏しい. 本研究の目的は, GE法のflip angleの変化によるアーチファクトの大きさについて, ファントーム実験にて検討することである. 材料および方法:本実験に使用したファントームは一辺20cmの中空の立方体であり, 立方体中央に直径1.0cmの円柱棒の先が位置するように設定した. 外壁および円柱棒はアクリル板であり, 内容物はMR像において体脂肪と同等の信号強度となるベビーオイルである. 円柱棒の先端表面周囲に矯正用の1.0mmステンレススチールワイヤーでループを作り円柱棒に固定し, ループの面が撮像方向(体軸横断像, 前額断像, 矢状断像)と平行になる様にした. 使用したMRI装置は静磁場強度0.2Teslaの永久磁石型装置(Magnetom P-8, シーメンス旭メディテック社)であり, 使用コイルはbodyコイル(S)を用いた. この装置は水平磁場型のため, 静磁場方向は前額断像と体軸横断像ではX軸方向, 矢状断像では画像と直交する方向である. 撮像法はGE法としてT1強調像(FLASH法, TR:40msec, TE:15msec), T2*強調像(FISP法, TR:35msec, TE:15msec)を用い, T1強調像, T2*強調像共にflip angleを10, 20, 30, 40, 50, 60, 70, 80, 90度と変化させ撮像し, アーチファクトの大きさを検討した. 各撮像法とも撮像領域(FOV)300×300mm, スライス厚10mm, マトリックス数256×256であり, 加算回数は1回とし, 各々体軸横断像, 前額断像, 矢状断像の3方向を3回づつ撮像した. アーチファクトの評価は3人の放射線科医にて行い, MR画像上にアーチファクトとして出現した低信号域の最大距離(X軸方向)を測定した. 結果:体軸横断像と前額断像では, T1強調像およびT2*強調像ともにflip angleが大きくなるにしたがいアーチファクトは大きくなる傾向を示した. 矢状断像では, T1強調像およびT2*強調像ともにflip angleが10~30度ではアーチファクトは大きくなっており, 30~90度ではほぼ一定となっていた. まとめ:すべての撮像方向においてflip angleが大きくなるにしたがいアーチファクトは強く出現したが, 静磁場方向と直交する矢状断像では全体的にアーチファクトは小さく, flip angleが30~90度ではほぼ一定となっていることより前額断像, 体軸横断像ほどflip angleによる影響はみられなかった.
ISSN:0389-9705