CT検査におけるMPR画像の検討
上顎洞とその周辺の病変にX線CTを用いた診断は近年, 多用される傾向にある. しかし, 通常行われているCT検査では体位を変えない限り, 冠状断方向の情報しか得られない. このため症例によっては口腔領域での病変の把握が困難な場合も多々ある. その様な場合, 前頭断のCT検査を施行するが, この検査法には患者の頭部を後屈位にするため, 苦痛を与えたり, 被曝量の増加ならびに, アーチファクトによる画質の低下などの欠点を伴う. そこで, 通常の冠状断方向でのCT検査によって得られた画像情報をワークステーションに送り病変部周辺の多断面再構築画像multiplanar reconstruction(M...
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Published in | 歯科放射線 Vol. 37; no. suppl; p. 84 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本歯科放射線学会
1997
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ISSN | 0389-9705 |
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Summary: | 上顎洞とその周辺の病変にX線CTを用いた診断は近年, 多用される傾向にある. しかし, 通常行われているCT検査では体位を変えない限り, 冠状断方向の情報しか得られない. このため症例によっては口腔領域での病変の把握が困難な場合も多々ある. その様な場合, 前頭断のCT検査を施行するが, この検査法には患者の頭部を後屈位にするため, 苦痛を与えたり, 被曝量の増加ならびに, アーチファクトによる画質の低下などの欠点を伴う. そこで, 通常の冠状断方向でのCT検査によって得られた画像情報をワークステーションに送り病変部周辺の多断面再構築画像multiplanar reconstruction(MPR画像)を作成することにより任意での断層面が得られ, この欠点を補える. 今回は, 上顎洞周辺で見られる病変の中で歯牙との関係を把握することが必要な症例についてMPR画像の作製法の検討を行い, そのMPR画像と単純写真, 冠状断CT写真との診断能を比較検討したので報告する. <対象> 平成8年5月より平成9年6月に期間に当科において上顎洞周辺のCT検査を行った患者を対象とした. <方法> 装置はGE横河社製CT装置『Lemage Supreme』を用い, 冠状断と必要に応じて前頭断を施行した. スライス厚は1mmないしは3mmとした. その画像情報をもとに横河製のワークステーション『Advantage Window』にて病変部分の前頭断と矢状断のMPR画像を作成し, 単純X線写真, 冠状断CT, 前頭断CTおよびMPR-CTのフィルムを用いて比較検討した. <結果> 1)同一症例において前頭断CTよりも前頭断MPR画像の方が患者の苦痛, アーチファクト, 診断能ともに優れていた. 2)スライス厚については3mmよりも1mmでのスライスの方が診断能が優れていた. しかし撮影範囲全体を1mmで撮影すると被曝量, 撮影時間, 管球への負担が増加し, またMPR作製時においてもワークステーションのsystemに負荷が掛かり作業効率が悪くなることが解った. そこで診断上最も重要と思われる1~2cmの範囲のみを1mmスライスで撮影し, 残りの範囲を3mmで撮影. そして1mm部分のみをワークステーションに転送しMPR画像を作成することで欠点を補うことができた. |
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ISSN: | 0389-9705 |