石灰化歯原性嚢胞のCT所見

石灰化歯原性嚢胞(COC)4例について, そのCT所見を詳細に観察しその特徴を抽出しようとした. 〔方法〕単純X線写真およびCTにおいて, 特に以下の項目に着目して検討した. 1)埋伏歯との関係, 2)歯根吸収の有無, 3)石灰化物の有無. また, CTにおいてはウィンドウ幅およびウィンドウ値を変化させ, 脱落石灰化物による高吸収域が観察できるかについても検討した. 〔結果〕単純X線画像において, すべてのCOCは上顎に発生しており, 境界明瞭な単胞性のX線透過像を呈していた. 石灰化物および埋伏歯は, すべての病変にて観察された. 歯根吸収は2例において認められたが, エナメル上皮腫などで見...

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Published in歯科放射線 Vol. 37; no. 3; p. 254
Main Authors 吉浦一紀, 田畑修, 三輪邦弘, 田中武昌, 塙茂生, 清水真弓, 篠原正徳, 樋口勝規
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 1997
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Summary:石灰化歯原性嚢胞(COC)4例について, そのCT所見を詳細に観察しその特徴を抽出しようとした. 〔方法〕単純X線写真およびCTにおいて, 特に以下の項目に着目して検討した. 1)埋伏歯との関係, 2)歯根吸収の有無, 3)石灰化物の有無. また, CTにおいてはウィンドウ幅およびウィンドウ値を変化させ, 脱落石灰化物による高吸収域が観察できるかについても検討した. 〔結果〕単純X線画像において, すべてのCOCは上顎に発生しており, 境界明瞭な単胞性のX線透過像を呈していた. 石灰化物および埋伏歯は, すべての病変にて観察された. 歯根吸収は2例において認められたが, エナメル上皮腫などで見られるような著しいものではなかった. CT画像上, すべてのCOCにおいて石灰化物は嚢胞辺縁あるいは埋伏歯周囲に観察された. ウィンドウを変化させ角化物を検出するウィンドウ効果は, 比較的年齢の高い患者2例において有効であった. 〔考察〕嚢胞辺縁の石灰化物をCOCの特徴的所見と考えるならば, 4例中3例にてこの特徴的所見が観察された. また, 角化物と石灰化物の存在は, 組織学的な特徴所見の一つであるので, 特に比較的年齢の高い患者においては, ウィンドウ効果はCOCの画像診断に有用な所見であると考えられた.
ISSN:0389-9705