マウス上顎相当部に放射線照射した際の胸腺細胞サブセットの変化について
[目的]頭頸部放射線照射を想定してマウス上顎相当部に放射線照射し, 照射野外の臓器の胸腺中の胸腺細胞サブセットの変化よりT細胞の分化・成熟の影響について検討した. [方法と材料] 8週齢雄性BALB/cマウスの上顎相当部にライナック(6MV, 三菱電機社)で総線量10Gy(線量率2.0Gy/min)のX線を照射した. 胸腺細胞浮遊液を調整し, FITC標識抗CD3抗体, PE標識抗CD4抗体, Cy-Chrome標識抗CD8抗体を用いた3 color染色を行い, FACScan(Becton-Dickinson社)で解析した. 胸腺細胞のCD3抗原の発現程度により分類したCD3 negativ...
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Published in | 歯科放射線 Vol. 36; no. 3; pp. 185 - 186 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本歯科放射線学会
1996
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ISSN | 0389-9705 |
Cover
Summary: | [目的]頭頸部放射線照射を想定してマウス上顎相当部に放射線照射し, 照射野外の臓器の胸腺中の胸腺細胞サブセットの変化よりT細胞の分化・成熟の影響について検討した. [方法と材料] 8週齢雄性BALB/cマウスの上顎相当部にライナック(6MV, 三菱電機社)で総線量10Gy(線量率2.0Gy/min)のX線を照射した. 胸腺細胞浮遊液を調整し, FITC標識抗CD3抗体, PE標識抗CD4抗体, Cy-Chrome標識抗CD8抗体を用いた3 color染色を行い, FACScan(Becton-Dickinson社)で解析した. 胸腺細胞のCD3抗原の発現程度により分類したCD3 negative, intermediate, bright細胞の各CD4, 8抗原の発現について比較, 検討した. 実験期間は, 照射1日前から照射後21日目までとした. [結果](1)CD4^- 8^- 胸腺細胞:CD3 negativeおよびintermediate細胞では, 照射群は無照射群と比較して3日目まで有意に高値を示し, CD3 bright細胞は無照射群, 照射群ともに同程度の値を示した. (2)CD4^+ 8^+ 胸腺細胞:各細胞ともに3日目まで有意に低値を示した. (3)CD4^+ 8^- 胸腺細胞:CD3 intermediate細胞は無照射群と有意差はなかったが, CD3 bright再訪は3日目のみ有意に高値を示した. (4)CD4^- 8^+ 胸腺細胞:CD3 intermediateおよびCD3 bright細胞は1日目に有意に高値を示した. [結論](1)胸腺細胞は未熟なほど放射線の感受性が高い. (2)胸腺細胞への放射線の影響は主に照射後早期にみられる. 以上より, マウス上顎相当部への放射線照射は, T細胞の分化・成熟に影響を及ぼすことが示唆された. |
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ISSN: | 0389-9705 |