Gastric adenocarcinoma and proximal polyposis of the stomach (GAPPS) におけるAPC遺伝子生殖細胞系列バリアントおよび臨床病理学的特徴

GAPPSは胃底腺ポリポーシスを背景とした胃癌を発生する新規の常染色体優性遺伝性疾患である. その原因としてAdenomatous polyposis coli (APC) 遺伝子promotor 1Bの病的バリアントが報告されている. GAPPSの報告は欧米の家系のみであったが, 近年になって本邦からも少数例認められるようになった. しかし, Helicobacter pylori感染率が高い本邦においては疾患の拾い上げが十分でない可能性がある. また, GAPPSの自然史は未だ不明な点が多く, 臨床的に高い悪性度を示すものの, 予防的胃全摘術の適応を含むサーベイランス方法は十分に定まってい...

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Published in家族性腫瘍 Vol. 19; no. 2; pp. 53 - 59
Main Authors 三井康裕, 寺前智史, 田中久美子, 藤本将太, 北村晋志, 岡本耕一, 宮本弘志, 佐藤康史, 六車直樹, 高山哲治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本遺伝性腫瘍学会 25.12.2019
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ISSN1346-1052

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Summary:GAPPSは胃底腺ポリポーシスを背景とした胃癌を発生する新規の常染色体優性遺伝性疾患である. その原因としてAdenomatous polyposis coli (APC) 遺伝子promotor 1Bの病的バリアントが報告されている. GAPPSの報告は欧米の家系のみであったが, 近年になって本邦からも少数例認められるようになった. しかし, Helicobacter pylori感染率が高い本邦においては疾患の拾い上げが十分でない可能性がある. また, GAPPSの自然史は未だ不明な点が多く, 臨床的に高い悪性度を示すものの, 予防的胃全摘術の適応を含むサーベイランス方法は十分に定まっていない. 今後, 本邦をはじめ, より大規模な調査によりGAPPSの臨床病理学的特徴, 病態およびサーベイランスのあり方について十分に検討する必要がある.
ISSN:1346-1052