O-15 多発性内分泌腫瘍症研究コンソーシアムの活動状況報告
昨年の本学術集会で報告したように, われわれは日本における多発性内分泌腫瘍症(MEN1およびMEN2)の診療の現状を明らかにし, エビデンスに基づいた診療を実現することを目的とした研究グループ, 「多発性内分泌腫瘍症研究コンソーシアム(MEN Consortium of Japan)」を2008年4月に設立した. 今回はこれまでの1年間の活動状況について報告する. コンソーシアム設立後, 本症に関連のある学術集会などの機会を通じて多くの医師に参加をよびかけた結果, 2009年2月現在の参加施設数は22施設になった. 症例の登録はまだ約半数の施設しか完了していないが, すでにMEN1 208例,...
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Published in | 家族性腫瘍 Vol. 9; no. 2; p. 125 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本家族性腫瘍学会
2009
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Summary: | 昨年の本学術集会で報告したように, われわれは日本における多発性内分泌腫瘍症(MEN1およびMEN2)の診療の現状を明らかにし, エビデンスに基づいた診療を実現することを目的とした研究グループ, 「多発性内分泌腫瘍症研究コンソーシアム(MEN Consortium of Japan)」を2008年4月に設立した. 今回はこれまでの1年間の活動状況について報告する. コンソーシアム設立後, 本症に関連のある学術集会などの機会を通じて多くの医師に参加をよびかけた結果, 2009年2月現在の参加施設数は22施設になった. 症例の登録はまだ約半数の施設しか完了していないが, すでにMEN1 208例, MEN2 159例の登録が終了しており, 残りの施設の登録が完了したのちは, 海外の主な疫学研究に匹敵する患者数の登録が見込まれる. 現在までに集積されたデータを検討すると, いくつかの特徴がすでに明らかとなっている. たとえばMEN1では初発臨床症状として胃潰瘍や尿路結石, 無月経などが多く, これらは多くの場合内分泌内科・外科以外の診療科で診察を受けるが, こうした症状が出現してからMEN1の診断にいたるまでには平均約10年, 最長30年以上を要している. 一方膵内分泌腫瘍では, 発端者と家族内の他の患者を比較すると, 平均診断時年齢は7年の差しかないが, 家族内患者における転移発生率は発端者の約半分になっている. こうした事実は疾患の認知度を高めることや積極的な家族スクリーニングを進めることの重要性を示すとともに, それによるさらなる診療成績の改善を期待させるものである. 今後は集積された情報をさまざまな視点から解析・検討し, これらを積極的に発信することによって本症の診療の向上に貢献したいと考えている. なお, 本年5月にMENコンソーシアムの第1回総会を開催し, 今後の活動方針などについて討議する予定である. |
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ISSN: | 1346-1052 |