I-6 日本人の乳がんと家族集積性 -大規模ケース・コントロール研究から
(目的)日本女性の乳癌発症リスク因子を解明し, 特に内因性リスクとして家族集積性に関しての特徴を検討した. (対象と方法)ケースは乳がん患者, コントロールは乳癌検診以外の目的で病院に訪れた健常女性とし, ケース・コントロール研究を行った. 年齢は45歳から69歳. 全国の7施設で実施した. 各施設の倫理審査委員会の許可後, アンケートを対象者に郵送し, 研究参加への同意があれば返信することとした. データは匿名化し, 北里大学統計センターで厳重な管理のもと解析を行った. (結果)5861例(ケース:3434例,コントロール:2427例)を解析対象集団とした. 乳癌リスクが低くなる因子は, 1...
Saved in:
Published in | 家族性腫瘍 Vol. 8; no. 2; p. 116 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本家族性腫瘍学会
2008
|
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | (目的)日本女性の乳癌発症リスク因子を解明し, 特に内因性リスクとして家族集積性に関しての特徴を検討した. (対象と方法)ケースは乳がん患者, コントロールは乳癌検診以外の目的で病院に訪れた健常女性とし, ケース・コントロール研究を行った. 年齢は45歳から69歳. 全国の7施設で実施した. 各施設の倫理審査委員会の許可後, アンケートを対象者に郵送し, 研究参加への同意があれば返信することとした. データは匿名化し, 北里大学統計センターで厳重な管理のもと解析を行った. (結果)5861例(ケース:3434例,コントロール:2427例)を解析対象集団とした. 乳癌リスクが低くなる因子は, 1)出産歴がある, 2)飲酒歴がある, 3)運動習慣がある, 4)出産回数が多い, 5)授乳歴がある, であった. リスクが高くなる因子は, 1)姉妹の乳癌既往歴がある, 2)過去の喫煙歴がある, 3)初産年齢が30歳以上, 4)初経年齢が遅い, 5)閉経年齢が早いであった. (考察)日本女性の乳がん発症リスクは, 海外で報告されているリスク因子と類似していた. しかし, 親子より姉妹に有意な相関が認められ, また初経年齢が遅く, 閉経年齢が早いほどリスクが増加していた. 家族集積性に関しての特徴は, 親子より姉妹に強い相関が認められたことである. 親子は内因性リスク(遺伝子学的リスク)が同じでも, 異なる時代に生活しており, つまり外因性(環境)リスクが異なる. 姉妹は同世代で生活しており, 内因性リスクと外因性リスクが同じである可能性が高い. 大規模ケース・コントロール研究結果から考えられる日本人の乳癌発症リスクの特徴に注目し, 日本人乳癌の家族集積性について論議したい. |
---|---|
ISSN: | 1346-1052 |