3-1 家族性膵癌家系におけるEUS,CTによる経過観察と膵液中メチル化マーカー検索の試み

[背景]米国では膵癌全体の約7%が家族性と報告されている.[目的]家族性膵癌の親類(膵癌家族)の経過観察が膵癌早期診断に有用であるか,また,膵液DNAのメチル化検索が膵癌マーカーとして有用かを検討する.[方法](1)膵癌ハイリスク78例(膵癌家族72例,Peutz-Jeghers症候群6例),コントロール161例を初回登録時とその後3~6ヶ月毎にEUSとCTで経過観察した.(2)膵癌11例,ハイリスク37例,正常膵11例からERCP時に採取した膵液で,methylation specific PCR(MSP)法にて13遺伝子のメチル化有無を検索した.real time MSP法にて,そのうち5...

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Published in家族性腫瘍 Vol. 7; no. 2; p. 148
Main Authors 松林宏行, Michael Goggins, 佐藤典宏, 福冨晃, 蓮池典明, 山口裕一郎, 大竹陽介, 小野裕之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本家族性腫瘍学会 2007
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Summary:[背景]米国では膵癌全体の約7%が家族性と報告されている.[目的]家族性膵癌の親類(膵癌家族)の経過観察が膵癌早期診断に有用であるか,また,膵液DNAのメチル化検索が膵癌マーカーとして有用かを検討する.[方法](1)膵癌ハイリスク78例(膵癌家族72例,Peutz-Jeghers症候群6例),コントロール161例を初回登録時とその後3~6ヶ月毎にEUSとCTで経過観察した.(2)膵癌11例,ハイリスク37例,正常膵11例からERCP時に採取した膵液で,methylation specific PCR(MSP)法にて13遺伝子のメチル化有無を検索した.real time MSP法にて,そのうち5遺伝子(CyclinD2,TFPI2,ppEnk,NPTX2,Foxel)のメチル化の定量を行った.[結果](1)78例のハイリスク群では初回登録時に4例,1年経過観察時に3例が画像上腫瘍を疑われ,外科切除された.病理診断はIPMC1例,CIS2例,IPMN3例,慢性膵炎に伴うPanIN1例であった.また,経過観察1年3ヶ月で肝転移を伴う膵癌を1例認めた.(2)膵液DNAのメチル化陽性遺伝子の頻度は,膵癌群で平均71%,ハイリスク群で27%,正常膵群で11%であった.メチル化定量検索では,複数の遺伝子が≧1%のメチル化を認める場合,膵癌に対する感度は82%,特異度は100%であった.[結論](1)家族性膵癌家系は膵癌ハイリスクであり,慎重な経過観察が肝要と考えられた.(2)膵液中DNAのメチル化は膵癌マーカーとして有用と考えられた.
ISSN:1346-1052