症例検討(2) 結腸癌,肝転移切除後のフォローアップ中に子宮体癌を発症したHNPCCの1例

結腸癌, 肝転移切除後のフォローアップ中に子宮体癌を発症したHNPCCの1例を経験したので報告する. 症例は33歳女性. 家族歴は祖母と伯父が悪性疾患で死亡しているが詳細不明. 既往歴は28歳時に下行結腸癌にて結腸左半切除術施行(well differentiated adenocarcinoma, se, ly1, v1, n0/stage II). その7ヵ月後に肝転移にて拡大S8亜区域切除術が施行されている. RER解析では大腸腫瘍組織のMSIはhighで, 遺伝子診断ではhMSH2遺伝子のexon4にframeshift mutationが指摘された. 最近は6ヵ月毎に定期検査を行って...

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Published in家族性腫瘍 Vol. 6; no. 2; p. 62
Main Authors 福永 睦, 武元浩新, 龍田眞行, 古河 洋, 石田秀之, 菅野康吉, 冨田尚裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本家族性腫瘍学会 2006
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Summary:結腸癌, 肝転移切除後のフォローアップ中に子宮体癌を発症したHNPCCの1例を経験したので報告する. 症例は33歳女性. 家族歴は祖母と伯父が悪性疾患で死亡しているが詳細不明. 既往歴は28歳時に下行結腸癌にて結腸左半切除術施行(well differentiated adenocarcinoma, se, ly1, v1, n0/stage II). その7ヵ月後に肝転移にて拡大S8亜区域切除術が施行されている. RER解析では大腸腫瘍組織のMSIはhighで, 遺伝子診断ではhMSH2遺伝子のexon4にframeshift mutationが指摘された. 最近は6ヵ月毎に定期検査を行っていたが, 検査の2ヵ月前より月経量増加を自覚し, 定期検査で貧血とCT上の子宮頚部LDAを指摘され, 子宮体癌精査目的で婦人科紹介となった. 子宮膣部, 内膜の擦過細胞診にてclass V, 子宮内膜組織診にてEndometrioid adenocarcinoma, Grade 2と診断され, 子宮全摘術十骨盤リンパ節郭清術(卵巣温存)が施行された. 病理組織診でリンパ節転移は無く, 進行期はpT2bN0M0/stage IIbで追加治療は行われていない. HNPCC関連癌の早期発見には6ヵ月より短い間隔での検査が必要で, 腹部~骨盤CTが簡便で有用であると思われた. また, HNPCC関連癌が疑われた場合は, 他科に紹介する際に, 癌発生のハイリスク患者であることやターゲットとする癌の部位を知らせることが重要であると考えられた.
ISSN:1346-1052