26. コーヒー摂取による尿中馬尿酸値の季節性変化

トルエンの生物学的モニタリングに用いる尿中馬尿酸は, 飲食物の影響を受けやすい. 植物において, 脂質代謝(β酸化)を介した馬尿酸生合成経路があることが報告されている. コーヒーに含まれるクロロゲン酸は, コーヒー酸, クマル酸を経て, ケイヒ酸となり, さらにβ酸化を介し安息香酸を経て馬尿酸へ変化する. 今回, コーヒー摂取により, 尿中馬尿酸値にどのような影響があるか検討した. 対象はトルエンに曝露していない女性1名. 2月と7月に各13回コーヒーによるクロロゲン酸負荷試験を行った. コーヒー以外の飲料は水のみとし, 果物と安息香酸含有食物の摂取を制限した. 7月は2月と比較して, 尿中馬...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 54; no. 2; p. 95
Main Authors 實森千香子, 城山康, 安井史郎, 松井亜樹, 石原敬康, 本迫郷宏, 植村理, 坂本史彦, 宮上浩史, 福田昌宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 01.03.2012
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ISSN1341-0725

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Summary:トルエンの生物学的モニタリングに用いる尿中馬尿酸は, 飲食物の影響を受けやすい. 植物において, 脂質代謝(β酸化)を介した馬尿酸生合成経路があることが報告されている. コーヒーに含まれるクロロゲン酸は, コーヒー酸, クマル酸を経て, ケイヒ酸となり, さらにβ酸化を介し安息香酸を経て馬尿酸へ変化する. 今回, コーヒー摂取により, 尿中馬尿酸値にどのような影響があるか検討した. 対象はトルエンに曝露していない女性1名. 2月と7月に各13回コーヒーによるクロロゲン酸負荷試験を行った. コーヒー以外の飲料は水のみとし, 果物と安息香酸含有食物の摂取を制限した. 7月は2月と比較して, 尿中馬尿酸値が早く上昇し, コーヒーに含まれるクロロゲン酸が早く代謝されることがわかった. これは, 冬季に比較して夏季に代謝が上がるため, 脂質代謝を介した馬尿酸の排泄経路が影響を受けたことが一因と考えた.
ISSN:1341-0725