産業医部会企画>職場の健康力を高める産業医活動報告
10年前の全国協議会(仙台)のシンポジウムにおいても, 座長の一人である中尾が司会を務めた. 当時はおりしも不況リストラの状況下にあって「労働者の健康観」を問うた. 奇しくも今回も同様の情勢下だが, 主題を「健康力」すなわち, 健康職場+健康労働+健康支援ということにした. 第1演者は, 北海道勤医協総合病院で20年にわたり職業病の検診や治療に従事してこられ, 昨年開業された佐藤修二氏である. 産業医活動は時間がかかる, 労災保険で巡視や事後指導, 長時間労働面接に診療報酬を認めるべきだと主張された. 第2の演者は, 山形県酒田市の労働衛生コンサルタント菅原保氏で, 病院勤務の産業医活動の意義...
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Published in | 産業衛生学雑誌 Vol. 52; no. 2; pp. 97 - 98 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本産業衛生学会
2010
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Summary: | 10年前の全国協議会(仙台)のシンポジウムにおいても, 座長の一人である中尾が司会を務めた. 当時はおりしも不況リストラの状況下にあって「労働者の健康観」を問うた. 奇しくも今回も同様の情勢下だが, 主題を「健康力」すなわち, 健康職場+健康労働+健康支援ということにした. 第1演者は, 北海道勤医協総合病院で20年にわたり職業病の検診や治療に従事してこられ, 昨年開業された佐藤修二氏である. 産業医活動は時間がかかる, 労災保険で巡視や事後指導, 長時間労働面接に診療報酬を認めるべきだと主張された. 第2の演者は, 山形県酒田市の労働衛生コンサルタント菅原保氏で, 病院勤務の産業医活動の意義を紹介された. また, 昨今は地方での深刻な医師不足を背景に勤務医の労働過重が大きな問題になっていることを取り上げた. そもそも, 学会や部会の活動に参加すること自体が一層の負担になるわけで, 救急指定病院を返上せざるを得ない一方, 産業保健推進センター業務など保健予防活動を重視する元気よさをお話しいただいた. 第3演者は副部会長斉藤政彦氏(大同特殊鋼星崎)である. 職場の健康増進を進める主役は従業員自身であり, 責任は事業主にある. しからば産業医は専門職として脇役に徹し, 時に「忍」たるべし. 誰が産業医になっても変化しないで済むよう組織を育て, プログラムをつくるのがよい. 学会の最新情報は企業にとって有益なのだと主張しよう, と述べた. 第4演者は司会の藤代一也氏(九州電力統括産業医)で, メンタルヘルスは企業の社会的責任のひとつで欠かせない, 従業員の健康が損なわれても代替が効くものでないからであると述べ, 産業医活動の経験から職場改善の事例をあげて「職場の健康力」を強調された. 最後に, 前日の自由集会「産業医にとって魅力ある企業とは. 産業医から事業者へ言いたいこと」を主宰された宮本俊明氏(部会幹事)が報告された. 事業場は特定しないし, 外に漏れない話だから, と30名が言いたい放題の2時間だったようだ. |
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ISSN: | 1341-0725 1349-533X |