7. チタン酸カリウムの生体影響試験

労働環境中の新規化学物質吸入による生体影響は, 石綿などによる過去の悲劇を考えると, 使用する前に有害性の予測をしておく必要がある. 本研究では, 新規化学物質であるチタン酸カリウムの有害性を予測するために, ラットに対して気管内注入試験, 吸入曝露試験を行った. 有害性指標として測定した肺内滞留性は気管内注入試験, 吸入曝露試験ともに半減期として2ヶ月強であり, 低毒性の難溶性ミクロン粒子の生理的排泄速度と同程度であった. また肺の病理組織においても両試験ともに対照群と比較して有意な炎症性の変化は認められなかった. また, がん化の指標として測定した8-OHdGにおいても, 両試験ともに対照...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 51; no. 5; p. 94
Main Authors 大藪貴子, 山本誠, 大神明, 廣橋雅美, 森本泰夫, 明星敏彦, 村上昌宏, 角谷力, 西賢一郎, 轟木基, 水口要平, 橋場昌義, 山崎小由美, 田中勇武
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 2009
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ISSN1341-0725

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Summary:労働環境中の新規化学物質吸入による生体影響は, 石綿などによる過去の悲劇を考えると, 使用する前に有害性の予測をしておく必要がある. 本研究では, 新規化学物質であるチタン酸カリウムの有害性を予測するために, ラットに対して気管内注入試験, 吸入曝露試験を行った. 有害性指標として測定した肺内滞留性は気管内注入試験, 吸入曝露試験ともに半減期として2ヶ月強であり, 低毒性の難溶性ミクロン粒子の生理的排泄速度と同程度であった. また肺の病理組織においても両試験ともに対照群と比較して有意な炎症性の変化は認められなかった. また, がん化の指標として測定した8-OHdGにおいても, 両試験ともに対照群と比較して有意な変化は認められなかった. これらのことより本研究で試料としたチタン酸カリウムは, 生体に対する影響の少ない物質であると予測された.
ISSN:1341-0725