4. キャラクタライゼーションを行った酸化ニッケルナノ粒子のラット肺における生体影響

ナノ材料のリスク評価は産業衛生上重要課題であるが, 多種多様のナノ材料に対し, 安全性に関する知見は充分とはいえない. 今回, キャラクタライズされた酸化ニッケルナノ粒子(質量基準50%径:25.8nm)をラット肺に0.1mg, 0.2mg単回気管内注入し, 注入後12ヶ月間におけるナノ粒子の肺への影響を評価した. BAL0.1mg注入群, 0.2mg注入群のいずれにおいても注入後3ヶ月をピークに総細胞数の有意な上昇と好中球数の上昇がみられた. 肺組織では, 注入後3ヶ月まで顕著な肺胞炎所見が持続し, 肺胞腔内の炎症細胞集籏が注入後12ヶ月の時点でも局所的に散見され, 酸化ニッケルナノ粒子は,...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 51; no. 5; pp. 93 - 94
Main Authors 大神明, 森本泰夫, 村上昌宏, 轟木基, 大藪貴子, 明星敏彦, 西賢一郎, 角谷力, 山本誠, 田中勇武
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 2009
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ISSN1341-0725

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Summary:ナノ材料のリスク評価は産業衛生上重要課題であるが, 多種多様のナノ材料に対し, 安全性に関する知見は充分とはいえない. 今回, キャラクタライズされた酸化ニッケルナノ粒子(質量基準50%径:25.8nm)をラット肺に0.1mg, 0.2mg単回気管内注入し, 注入後12ヶ月間におけるナノ粒子の肺への影響を評価した. BAL0.1mg注入群, 0.2mg注入群のいずれにおいても注入後3ヶ月をピークに総細胞数の有意な上昇と好中球数の上昇がみられた. 肺組織では, 注入後3ヶ月まで顕著な肺胞炎所見が持続し, 肺胞腔内の炎症細胞集籏が注入後12ヶ月の時点でも局所的に散見され, 酸化ニッケルナノ粒子は, 注入後12ヶ月まで肺への影響が持続することが確認された. キャラクタライズした酸化ニッケルナノ粒子を比較対象物質に用いることにより, 新規ナノ材料のハザード評価に有用であることが示唆された.
ISSN:1341-0725