振動障害検診の評価に関する研究

山形県の林業労働者で, 10℃10分間の冷却負荷試験を受診した98名の男性(平均年齢61.7±7.4歳)で, 左手示指皮膚温の判定基準について検討した. 対象は室温下の一次検診で自他覚所見から振動障害を疑わせる所見を有した者で, その日のうちに負荷試験は実施した. 対照群には学生を用いた. 対象では負荷中に皮膚温の反跳反応をみる例が少なく, 負荷直後の皮膚温は水温に近い. 異常値の出現割合をみると, 負荷前25℃以下は学生にはめったにみないが, 有所見者では30%弱存在する. 5分後の回復状況は15℃まで達しない者がレイノー群で約60%, 非レイノー群で約50%ある. 10分後皮膚温では22℃...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 39; no. 6; p. 212
Main Authors 中屋重直, 野原勝, 勝山彰, 角田文男, 鈴木康洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 1997
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Summary:山形県の林業労働者で, 10℃10分間の冷却負荷試験を受診した98名の男性(平均年齢61.7±7.4歳)で, 左手示指皮膚温の判定基準について検討した. 対象は室温下の一次検診で自他覚所見から振動障害を疑わせる所見を有した者で, その日のうちに負荷試験は実施した. 対照群には学生を用いた. 対象では負荷中に皮膚温の反跳反応をみる例が少なく, 負荷直後の皮膚温は水温に近い. 異常値の出現割合をみると, 負荷前25℃以下は学生にはめったにみないが, 有所見者では30%弱存在する. 5分後の回復状況は15℃まで達しない者がレイノー群で約60%, 非レイノー群で約50%ある. 10分後皮膚温では22℃に達しない者が85~90%であった. 回復率で判定すると完全に学生群と判別され, 末梢循環機能のスクリーニングとして優れているが, レイノー現象発現者の識別にはならなかった.
ISSN:1341-0725