13. 気管支断端瘻によるアスペルギルス膿胸に対する2期的根治術

【目的】肺アスペルギルス症に対しては内科的治療が第1選択となるが治療に難渋する症例も少なからずある. 肺アスペルギルス症に対して右上葉切除術約1年後に気管支断端瘻, アスペルギルス膿胸を生じ, 開窓術, 大胸筋弁充填による閉窓術及び胸郭成形術を施行した症例を経験したので報告する. 【症例】結核の既往を有し血痰を主訴とする63歳男性. 2005年右肺上葉アスペルギルス症と診断され内服治療が試みられたが改善しないため, 2006年外科的治療目的で転科. BAE施行後, 右肺上葉切除術(手術時間10時間, 出血1000ml)を施行したが, 術後肺瘻を認め再開胸, 肺瘻閉鎖術を施行. 術後再び出現した...

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Published in気管支学 Vol. 30; no. 6; pp. 414 - 415
Main Authors 瀧田麻佳, 中島裕康, 川上豪仁, 前川信一, 岡林寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器内視鏡学会 2008
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Summary:【目的】肺アスペルギルス症に対しては内科的治療が第1選択となるが治療に難渋する症例も少なからずある. 肺アスペルギルス症に対して右上葉切除術約1年後に気管支断端瘻, アスペルギルス膿胸を生じ, 開窓術, 大胸筋弁充填による閉窓術及び胸郭成形術を施行した症例を経験したので報告する. 【症例】結核の既往を有し血痰を主訴とする63歳男性. 2005年右肺上葉アスペルギルス症と診断され内服治療が試みられたが改善しないため, 2006年外科的治療目的で転科. BAE施行後, 右肺上葉切除術(手術時間10時間, 出血1000ml)を施行したが, 術後肺瘻を認め再開胸, 肺瘻閉鎖術を施行. 術後再び出現した肺瘻に対し, 気管支鏡下気管支塞栓術も施行した既往を有す. 2007年発熱, 咳嗽, 膿性痰が出現し精査の結果, アスペルギルス膿胸と診断された. 様々な内科的治療で改善が得られず, 再び当科に入院となった. 気管支鏡検査では上葉支断端にpin hole状の瘻孔を認め気管支断端瘻による有瘻性膿胸と診断し開窓術を施行した. 約6週間で膿胸腔の浄化が見られたため, 大胸筋弁充填による閉窓術及び胸郭成形術を施行した. 術後経過は良好である. 【結語】気管支断端瘻によるアスペルギルス膿胸に対し, 開窓術, 大胸筋弁充填による閉窓術及び胸郭成形術が有効であった. 初回手術時に広背筋弁などによる気管支断端の被覆を行うべきであった.
ISSN:0287-2137