顕微鏡CTによる末梢気道・肺の形態解析

本研究の目的は, 新たに開発された顕微鏡CT装置がbroncho-pulmonary physiologyの基礎をなす末梢気道肺の形態解析に応用可能か否かを検討することにある. このシステムの基本的構成は, 微小焦点X線源, 標本操作装置, およびCCD cameraと接続したimage intensifier detectorからなる. 3次元画像再構成はスライスごとに行った. 標準のファンビーム回旋と逆投影アルゴリズムを使うことによって, エックス線源と交差する中心面の正確な再構成を行うことができる. 3D画像再構成の予備処理には, 幾何学的ひずみ並びに検出器に由来するshading ar...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in気管支学 Vol. 25; no. 8; pp. 656 - 660
Main Authors 松井英介, 中屋良宏, 仁木登, 藤井正司, 大松広伸, 柿沼龍太郎, 舘野之男, 金子昌弘, 西山祥行, 森山紀之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器内視鏡学会 2003
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:本研究の目的は, 新たに開発された顕微鏡CT装置がbroncho-pulmonary physiologyの基礎をなす末梢気道肺の形態解析に応用可能か否かを検討することにある. このシステムの基本的構成は, 微小焦点X線源, 標本操作装置, およびCCD cameraと接続したimage intensifier detectorからなる. 3次元画像再構成はスライスごとに行った. 標準のファンビーム回旋と逆投影アルゴリズムを使うことによって, エックス線源と交差する中心面の正確な再構成を行うことができる. 3D画像再構成の予備処理には, 幾何学的ひずみ並びに検出器に由来するshading artifactの補正が含まれている. このCTのスライスの優れた空間分解能は, 5μmを達成した. 本研究において, われわれは外科切除伸展固定された正常肺を, このシステムを用いてスキャンし, 得られた画像を対応する部位の軟X線像および実体顕微鏡所見と比較した. 顕微鏡CTは, 肺胞壁, 小葉間隔壁, 細気管支などの肺組織構造と腫瘍組織構築を正確に描出した. 顕微鏡CTシステムは, 信頼度の高いデータ解析を可能にする機器として, 切除肺標本の非破壊的検査など, 肺病変の基礎的臨床的研究への応用が期待される.
ISSN:0287-2137