気道関連肺アスペルギルス症における気管支鏡の有用性

〔目的〕アスペルギルスは呼吸器系に集落化もしくは感染することでいくつかの病型を呈する. 気道内に病変を有するアスペルギルス症の病型を明らかにし, 気管支鏡の有用性を検討した. 〔対象〕1993年から2000年までに当院で, 気管支鏡により気道内病変を確認したアスペルギルス症10例を対象とした. 〔結果〕1. 臨床病型:アスペルギルス菌球は2例で, いずれも気管支拡張症を基礎疾患としていた. アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)は5例で, 喘息先行例は4例であった. 侵襲性気管支炎は3例で, すべて肺炎を合併しており, 基礎疾患はインフルエンザ, 慢性関節リウマチ, 糖尿病であった....

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Published in気管支学 Vol. 23; no. 3; p. 67
Main Authors 川田一郎, 高柳昇, 生方幹夫, 茂木充, 松島秀和, 坂本龍彦, 柳沢勉, 杉田裕, 金沢実, 河端美則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 2001
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Summary:〔目的〕アスペルギルスは呼吸器系に集落化もしくは感染することでいくつかの病型を呈する. 気道内に病変を有するアスペルギルス症の病型を明らかにし, 気管支鏡の有用性を検討した. 〔対象〕1993年から2000年までに当院で, 気管支鏡により気道内病変を確認したアスペルギルス症10例を対象とした. 〔結果〕1. 臨床病型:アスペルギルス菌球は2例で, いずれも気管支拡張症を基礎疾患としていた. アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)は5例で, 喘息先行例は4例であった. 侵襲性気管支炎は3例で, すべて肺炎を合併しており, 基礎疾患はインフルエンザ, 慢性関節リウマチ, 糖尿病であった. 2. 気管支鏡所見:菌球例ではポリープ病変を認め気管支鏡では真菌が検出されず, 悪性腫瘍も否定できず手術を行った. ABPAでは4例に粘液栓を, 1例で多発性の気道狭窄を認めた. 気管支炎では気管支の白苔を認めた. 3. 予後:気管支炎の1例は, 抗真菌剤の投与にも関わらず気道出血のため死亡した. 〔結語〕気道関連のアスペルギルス症においても, 菌球性, アレルギー性, 侵襲性の3病型がみられた. 気管支鏡はABPAと気管支炎の診断に有用であり, 気道を押し広げるポリープ病変では菌球を示唆した. 気管支炎では致死的な出血が起こり得るので, アスペルギルス症が疑われた場合には気管支炎の合併の有無を気管支鏡で確認する必要があると考えた.
ISSN:0287-2137