胸部CTによる検診

「東京から肺がんをなくす会」が1993年9月より胸部CTによる肺癌検診を開始して7年6ヶ月が経過した. 胸部単純写真と喀痰細胞診(導入前)での検診(1975年9月~1993年8月)とヘリカルCT検診導入後(1993年9月~2001年2月)で発見肺癌の比較を行うと以下のようになる. 受診者数, 要精検者数(%), 発見肺癌数(対10万人比)は, 導入前で26, 338人, 1, 331人(5.1%), 43人(163), 導入後で13, 070人, 1, 306人(10.0%), 52人(実人数49人, 同時多発2人, 異時多発1人)(398)であった. 組織型では, 導入前では, 腺癌21人(...

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Published in気管支学 Vol. 23; no. 3; p. 28
Main Authors 柿沼龍太郎, 大松広伸, 永井完治, 西脇裕, 金子昌弘, 小林寿光, 楠本昌彦, 西山祥行, 松井英介, 江口研二, 森山紀之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 2001
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Summary:「東京から肺がんをなくす会」が1993年9月より胸部CTによる肺癌検診を開始して7年6ヶ月が経過した. 胸部単純写真と喀痰細胞診(導入前)での検診(1975年9月~1993年8月)とヘリカルCT検診導入後(1993年9月~2001年2月)で発見肺癌の比較を行うと以下のようになる. 受診者数, 要精検者数(%), 発見肺癌数(対10万人比)は, 導入前で26, 338人, 1, 331人(5.1%), 43人(163), 導入後で13, 070人, 1, 306人(10.0%), 52人(実人数49人, 同時多発2人, 異時多発1人)(398)であった. 組織型では, 導入前では, 腺癌21人(48.9%), 扁平上皮癌15人(34.9%), 小細胞癌5人(11.6%), 大細胞癌1人(2.3%), 腺扁平上皮癌1人(2.3%), 導入後では, 腺癌37人(71.2%), 扁平上皮癌13人(25.0%), 小細胞癌1人(1.9%), 大細胞癌1人(1.9%)であった. 病理病期別では, 導入前ではIA:18人(41.9%), 導入後ではIA:43人(82.7%)であった(p<0.01). 2000年2月までの集計では肺野型肺癌の大きさの平均は導入前30.4mm, 導入後15.1mm(p<0.01), 5年生存率は導入前48%, 導入後78%(Logrank test p=0.0138)であった. ヘリカルCTによる肺癌検診は, より早期の小型肺癌の発見を可能にし5年生存率を有意に改善した.
ISSN:0287-2137