気管支鏡下生検で腫瘍壊死部分に真菌の腐生を認めた4症例

真菌なかでもアスペルギルスは空洞内, 拡張した気管支内や縫合糸などに腐生するこことが知られている. 今回我々は肺癌疑いで気管支鏡を施行しそのポリープ状腫瘍に腐生した真菌症4例を経験したので報告する. 【症例】男性3例女性1例. 58才から72才までで平均年齢は65.8才であった. 発生部位は右上葉が3例, 右下葉が1例で全例気管支鏡で直視下にポリープ状腫瘍を認め, その生検あるいは擦過細胞診を行った. 当初得られたそれらの検体は壊死組織が主体でその中に真菌の腐生を認め, 悪性所見は得られなかった. 検体から鏡検でアスペルギルスと考えられたもの2例, 培養で診断したものが1例, PCR法でムコー...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in気管支学 Vol. 21; no. 3; p. 83
Main Authors 馬庭厚, 田口善夫, 種田和清, 郡義明, 富井啓介, 松村栄久, 郷間厳, 加藤晃史, 森松嘉孝, 濱西徹, 弓場吉哲, 小橋陽一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 1999
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:真菌なかでもアスペルギルスは空洞内, 拡張した気管支内や縫合糸などに腐生するこことが知られている. 今回我々は肺癌疑いで気管支鏡を施行しそのポリープ状腫瘍に腐生した真菌症4例を経験したので報告する. 【症例】男性3例女性1例. 58才から72才までで平均年齢は65.8才であった. 発生部位は右上葉が3例, 右下葉が1例で全例気管支鏡で直視下にポリープ状腫瘍を認め, その生検あるいは擦過細胞診を行った. 当初得られたそれらの検体は壊死組織が主体でその中に真菌の腐生を認め, 悪性所見は得られなかった. 検体から鏡検でアスペルギルスと考えられたもの2例, 培養で診断したものが1例, PCR法でムコールと考えられたものが1例であった. 肺癌診断までに要した気管支鏡検査の回数は各々2回, 3回, 3回, 6回であった. 肺癌の診断が得られ, 1例は切除術を施行し, 3例に化学療法を行い, 内1例に放射線治療を併用した. 4例とも抗真菌治療は施行しなかったが真菌感染症が問題となることはなかった. 【考察】ポリープ状腫瘍の壊死組織に真菌が腐生する場合があり, 腫瘍の確定診断を得るために気管支鏡下検査の複数回施行が必要な場合がある.
ISSN:0287-2137