中心部にアスペルギルス菌塊を認めた気管支結石症の1例

気管支結石症の成因は, 石灰化したリンパ節の気管支内穿破が多いと言われている. 今回我々は気管支内腔のアスペルギルス菌塊を核に形成されたと思われる気管支結石症の1例を経験したので報告する. 症例は63歳, 女性. 1994年10月28日より発熱, 喀血出現し, 10月31日当院受診, 胸部X線写真にて右中肺野の浸潤影を認めた. 胸部CTでは右S^3 に一致して内部に多数の石灰化を伴った塊状影を認め, 気管支鏡下で右B^3 入口部を閉塞する異物を生検し気管支結石と診断した. 抗生剤投与にて症状改善後, 内視鏡下に結石の除去を試みたが摘出できず, 右S^3 の無気肺も残存したため, 12月21日右...

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Published in気管支学 Vol. 19; no. 4; p. 78
Main Authors 渋谷直道, 田村久, 立花康人, 土屋香代子, 市川幸次郎, 佐々木悟, 黒川聰則, 細川誉至雄, 伊志嶺篤, 佐藤くみ子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 1997
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Summary:気管支結石症の成因は, 石灰化したリンパ節の気管支内穿破が多いと言われている. 今回我々は気管支内腔のアスペルギルス菌塊を核に形成されたと思われる気管支結石症の1例を経験したので報告する. 症例は63歳, 女性. 1994年10月28日より発熱, 喀血出現し, 10月31日当院受診, 胸部X線写真にて右中肺野の浸潤影を認めた. 胸部CTでは右S^3 に一致して内部に多数の石灰化を伴った塊状影を認め, 気管支鏡下で右B^3 入口部を閉塞する異物を生検し気管支結石と診断した. 抗生剤投与にて症状改善後, 内視鏡下に結石の除去を試みたが摘出できず, 右S^3 の無気肺も残存したため, 12月21日右S^3 区域切除術を施行した. 手術所見では, S^3 の無気肺とともに, B^3 気管支内腔に多数の結石を認めた. 結石の構造はいずれも中心にアスペルギルス菌塊があり, 周囲に層状の石灰化構造がみられ, アスペルギルス菌塊を核として形成された気管支結石と考えられた. 切除肺の病理組織学的検査では, 気管支周囲に強い慢性炎症像が見られたが, アスペルギルスの組織内への侵襲や肺結核の存在を示す所見は認められなかった.
ISSN:0287-2137