長期気管切開患者にみられた気道損傷の3例

症例1は74歳, 女性. 結核後遺症肺で13年の呼吸不全歴があり, 気管切開を受けている. 夜間人工呼吸器を使うためカフ付き気切チューブを使うようになって5ヵ月後から前胸部痛を訴えるようになった. 突然死亡し, 剖検で気管粘膜の潰瘍形成, 気管軟骨の融解, 気管壁穿孔が見つかった. 症例2は67歳, 男性. 結核後遺症肺. 12年の呼吸不全歴がある. 夜間人工呼吸器を使うようになってから半年が経過している. カフが接する粘膜面に潰瘍瘢痕をみた. この2例は経口的な栄養を開始した際誤嚥があるため, 予防目的でカフ内圧を高くした結果, 生じた合併症と考えられる. 症例3は73歳, 女性. 低肺機能...

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Published in気管支学 Vol. 18; no. 1; p. 99
Main Authors 高瀬恵一郎, 関利満
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 1996
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Summary:症例1は74歳, 女性. 結核後遺症肺で13年の呼吸不全歴があり, 気管切開を受けている. 夜間人工呼吸器を使うためカフ付き気切チューブを使うようになって5ヵ月後から前胸部痛を訴えるようになった. 突然死亡し, 剖検で気管粘膜の潰瘍形成, 気管軟骨の融解, 気管壁穿孔が見つかった. 症例2は67歳, 男性. 結核後遺症肺. 12年の呼吸不全歴がある. 夜間人工呼吸器を使うようになってから半年が経過している. カフが接する粘膜面に潰瘍瘢痕をみた. この2例は経口的な栄養を開始した際誤嚥があるため, 予防目的でカフ内圧を高くした結果, 生じた合併症と考えられる. 症例3は73歳, 女性. 低肺機能による呼吸不全で2年前に入院. 安定期でも動脈血炭酸ガス分圧が高いため気切口を残し, スピーチカニュレを使用している. 気切口より声門よりの気管内腔にポリープが形成されて閉塞し, 気管カニューレ被管困難症となった. 長期気管切開患者の管理には充分な注意を要する.
ISSN:0287-2137