大腸癌術後転移を疑われた気管支結核症の1例

症例は77歳, 女性. 20年前胸膜炎の既往あり. 昭和61年大腸癌を手術し, 当院外科にて経過観察中咳嗽を認め当科紹介となった. 胸部レ線にて右肺門部の拡大および末梢肺の炎症像を認めた. 大腸癌肺転移を疑い気管支鏡検査を施行したところ, 右上葉入口部は狭窄し, 膜様部はひきつれたように右上葉に向かって引き寄せられ, 上葉の各区域枝は観察不能であった. また中葉も入口部の狭窄を認め, 通気を認めなかった. 気管支の一部には炭粉沈着を認めた. 中葉枝・上葉枝からの生検にて大腸癌の転移は認められず, 乾酪壊死と類上皮細胞を認め結核性病変と診断された....

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Published in気管支学 Vol. 17; no. 7; pp. 661 - 662
Main Authors 竹腰篤, 安部崇, 冨田崇仁, 進藤丈, 角田俊昭, 堀場通明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 1995
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Summary:症例は77歳, 女性. 20年前胸膜炎の既往あり. 昭和61年大腸癌を手術し, 当院外科にて経過観察中咳嗽を認め当科紹介となった. 胸部レ線にて右肺門部の拡大および末梢肺の炎症像を認めた. 大腸癌肺転移を疑い気管支鏡検査を施行したところ, 右上葉入口部は狭窄し, 膜様部はひきつれたように右上葉に向かって引き寄せられ, 上葉の各区域枝は観察不能であった. また中葉も入口部の狭窄を認め, 通気を認めなかった. 気管支の一部には炭粉沈着を認めた. 中葉枝・上葉枝からの生検にて大腸癌の転移は認められず, 乾酪壊死と類上皮細胞を認め結核性病変と診断された.
ISSN:0287-2137