著明な気道病変を呈したウェジェナー肉芽腫症の1例

症例は63歳, 男性. 2年前より膿性鼻漏を認め, その後咳, 血痕, 筋痛認めたため当院入院された. 入院時胸部X線写真では右肺野に数個の結節影を認めた. 入院直後の気管支鏡検査にて声門直下より強い発赤を伴う潰瘍病変を不連続に認め中間気管支幹, 各葉支では同変化はほぼ全周性であった. 同部位及び鼻粘膜の生検よりそれぞれ血管炎, 肉芽腫病変の所見を得, PR3-ANCA陽性であることよりウェジェナー肉芽腫症と診断された. ELK分類ではELのみのLimited Formに分類された. 厚生省研究班のWG標準的免疫抑制療法に基づきシクロフォスファミド, プレドニゾロンの併用療法を施行した結果寛解...

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Published in気管支学 Vol. 17; no. 6; p. 537
Main Authors 石井幸雄, 田島美香, 大瀬寛高, 斉藤武文, 渡辺定友, 根本悦夫, 深井志摩夫, 柳内登, 玉井誠一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 1995
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Summary:症例は63歳, 男性. 2年前より膿性鼻漏を認め, その後咳, 血痕, 筋痛認めたため当院入院された. 入院時胸部X線写真では右肺野に数個の結節影を認めた. 入院直後の気管支鏡検査にて声門直下より強い発赤を伴う潰瘍病変を不連続に認め中間気管支幹, 各葉支では同変化はほぼ全周性であった. 同部位及び鼻粘膜の生検よりそれぞれ血管炎, 肉芽腫病変の所見を得, PR3-ANCA陽性であることよりウェジェナー肉芽腫症と診断された. ELK分類ではELのみのLimited Formに分類された. 厚生省研究班のWG標準的免疫抑制療法に基づきシクロフォスファミド, プレドニゾロンの併用療法を施行した結果寛解を得た. 本症例の特異な点は肺野病変がきわめて軽度であったにも拘らず気道病変が著明であったことであり, Yousenらのウェジェナー肉芽腫症肺野病変の気管支中心障害説を裏付ける上で興味深い1例と思われた.
ISSN:0287-2137