骨塩定量法の進歩と臨床応用

高齢化人口の増加とともに, 退行性疾患の一つである退行期骨粗鬆症は医学的のみならず社会的にも注目されている. 骨粗鬆症に基づく骨折は, 「寝たきり老人」の原因として頻度が多いので, その診断や治療は重要である. 骨の強度は硬度つまり骨塩量に専ら依存する. したがって, 骨粗鬆症による骨折の危険性を予知するには, 信頼性の高い骨塩定量法を用いることが必要である. 本稿では, 川崎医科大学放射線(核医学)で施行している骨塩定量法の概要, 基本性能, 特徴, 臨床応用および将来展望について概説する. 本稿がより良い骨粗鬆症診療の一助として利用されることが期待される. 「はじめに」近年, 本邦では高齢...

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Published in川崎医学会誌 Vol. 20; no. suppl; pp. 17 - 24
Main Authors 福永仁夫, 友光達志, 大塚信昭, 今井弘子, 三宅真理子, 武田直人, 片桐誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 1994
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Summary:高齢化人口の増加とともに, 退行性疾患の一つである退行期骨粗鬆症は医学的のみならず社会的にも注目されている. 骨粗鬆症に基づく骨折は, 「寝たきり老人」の原因として頻度が多いので, その診断や治療は重要である. 骨の強度は硬度つまり骨塩量に専ら依存する. したがって, 骨粗鬆症による骨折の危険性を予知するには, 信頼性の高い骨塩定量法を用いることが必要である. 本稿では, 川崎医科大学放射線(核医学)で施行している骨塩定量法の概要, 基本性能, 特徴, 臨床応用および将来展望について概説する. 本稿がより良い骨粗鬆症診療の一助として利用されることが期待される. 「はじめに」近年, 本邦では高齢化社会の到来とともに加齢に伴う退行性疾患の対策が急務となっている. これは骨の分野でも同様であり, 骨の退行性疾患の一つである骨粗鬆症は, その頻度が増加し2000年には1,000万人が罹患すると予測される. 骨粗鬆症による大腿骨頚部骨折は, 「寝たきり老人」の原因として脳血管障害に次いで多いため, その予防や治療は医学的のみならず, 社会的にも強く要請されている.
ISSN:0386-5924