Rimmed vacuoleを伴うdistal myopathyの1例―神経原性変化の関与について
30歳, 男性. 25歳頃から足先に力が入りにくくなり, 27歳頃から走りにくくなり, 足の背屈が困難となった. その後, 歩行障害が増強してきたため入院となった. 入院時両側前脛骨筋, 大腿屈筋内転筋群, 傍脊柱筋に, 筋萎縮と右側優位の筋力低下を中等度認めた. 筋逸脱酵素は, CK502IU/l, アルドラーゼ9.6U/l, ミオグロビン140ng/mlと上昇を認めた. 筋電図では, 筋原性変化と神経原性変化の混在した所見で, 骨格筋XR-CTでは筋力低下部位に一致して筋萎縮像を認めた. 筋生検では, 筋線維の大小不同や萎縮筋線維のrimmed vacuoleなどの筋原性変化に加え, 小径...
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Published in | 川崎医学会誌 Vol. 20; no. 2; pp. 129 - 136 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
川崎医学会
1994
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Summary: | 30歳, 男性. 25歳頃から足先に力が入りにくくなり, 27歳頃から走りにくくなり, 足の背屈が困難となった. その後, 歩行障害が増強してきたため入院となった. 入院時両側前脛骨筋, 大腿屈筋内転筋群, 傍脊柱筋に, 筋萎縮と右側優位の筋力低下を中等度認めた. 筋逸脱酵素は, CK502IU/l, アルドラーゼ9.6U/l, ミオグロビン140ng/mlと上昇を認めた. 筋電図では, 筋原性変化と神経原性変化の混在した所見で, 骨格筋XR-CTでは筋力低下部位に一致して筋萎縮像を認めた. 筋生検では, 筋線維の大小不同や萎縮筋線維のrimmed vacuoleなどの筋原性変化に加え, 小径角化線維, 群性萎縮などの神経原性変化がみられた. 以上の所見から空胞変性を伴う遠位型ミオパチー(DMRV)と診断したが本症例では神経原性変化の関与が強く考えられ, DMRVの発症機序, 症状の進行に神経原性変化の関与している可能性が考えられた. rimmed vacuoleを伴う遠位型ミオパチー(distal myopathy with rimmed vacuole, DMRV)の報告は近年わが国において比較的多く認められ, 一つの疾患単位として確立しつつある1),2). しかし, rimmed vacuole(RV)のautophagic vacuoleとしての特徴3)~7)やlysosomeに関する知見などの報告8),9)は多くみられるが, DMRVの筋電図, 筋生検でみられる神経原性変化について検討した報告は少なく10),11), DMRVの発生機序, 症状の進行への神経原性変化の関与は明らかではない. |
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ISSN: | 0386-5924 |