デキストラナーゼ遺伝子を用いたDNAハイブリダイゼーション法によるStreptococcus sobrinusとStreptococcus dewneiの識別
目的 ヒトの齲蝕原因菌の1種であるStreptococcus sobrinusのS.sbrinusを検出同定する目的で, S.sobrinusのデキストラナーゼ遺伝子(dex)を指標にDNAプローブを作成し, その特異性について検討した. 材料と方法 染色体DNAは, 齲蝕細菌(5菌種16株)およびその他の口腔レンサ球菌(9菌種13株)から塩化セシウム密度勾配法により精製した. PCRプライマーは, S.sobrinusのdexの塩基配列を基に作成した. PCR増幅断片はpT7BlueT-Vector(Novagen)にクローニング後, Wizerd Minipreps Purificatio...
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Published in | 昭和歯学会雑誌 Vol. 18; no. 1; p. 107 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
昭和大学・昭和歯学会
1998
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Summary: | 目的 ヒトの齲蝕原因菌の1種であるStreptococcus sobrinusのS.sbrinusを検出同定する目的で, S.sobrinusのデキストラナーゼ遺伝子(dex)を指標にDNAプローブを作成し, その特異性について検討した. 材料と方法 染色体DNAは, 齲蝕細菌(5菌種16株)およびその他の口腔レンサ球菌(9菌種13株)から塩化セシウム密度勾配法により精製した. PCRプライマーは, S.sobrinusのdexの塩基配列を基に作成した. PCR増幅断片はpT7BlueT-Vector(Novagen)にクローニング後, Wizerd Minipreps Purification Kit(Promega)を用いて精製し, 塩基配列決定に供した. DNA塩基配列は, ABI Prime Cycle Sequencing Kit(Parkin Elmer)と自動DNA決定装置Model 373S(Parkin Elmer)を用いて決定した. サザンおよびドットハイブリダイゼーションは, DIG Labeling and Detection Kid I(Boehringer)を用い, その方法に従った. 結果と考察 PCR反応により増幅された断片(1.2kb)の長さは, S.sobrinus dexの塩基配列からの計算値と同じであった. また, この断片の塩基配列は, 既報のS.sobrinus dexのそれと一致していた. これらの結果から, この1.2kbのPCR増幅断片は, S.sobrinus dex由来であることが明らかになり, この断片をdexプローブとして, 以後の実験に用いた. 次にこのdexプローブの特異性を検討するために, 供試菌株(29菌種14株)に対するドットハイブリダイゼーションを行い, dex相同断片の検出を試みた. その結果, S.sobrinusとS.downeiの2菌種のみから相同断片が検出され, その他の齲蝕原因菌および口腔レンサ球菌からは検出されなかった. そこで, このS.sobrinusの識別を行う目的で, それぞれの染色体DNAの各種制限酵素消化断片に対するサザンハイブリダイゼーションを行った結果, 2菌種間の検出断片の明瞭な違いは, EcoRI, EcoRV, HindIIIおよびPvuII消化断片に対して観察された. 以上の結果より, ここで作成したdexプローブにより特異的に検出されたS.sobrinusとS.downeiは, その後のサザンハイブリダイゼーションにより識別が可能であることが明らかになった. |
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ISSN: | 0285-922X |