コラーゲンゲル内培養骨系細胞に対する3次元的外力の適用による細胞増殖と形態変化
骨組織が正常な生理的機能を維持するには, 日常生活における運動や歩行, あるいは血流や重力など様々な機械的刺激(メカニカルストレス)が必要であると考えられており, その適応性を明らかにすることは骨の成長において重要である. 今日までに, 細胞に機械的刺激を負荷する装置として様々なものが考案されているが, 多くは単層培養系で2次元的な外力を負荷するものである. 本研究では従来のナイロンメッシュを支持体としたコラーゲンゲル包埋培養法を基本に, 新たに開発した改良型伸展力反復負荷装置を用いて3次元的な機械的外力を加え, 機械的刺激に対する骨系細胞の応答性を検討した. 実験方法は, 1日齢ラット頭蓋冠...
Saved in:
Published in | 昭和歯学会雑誌 Vol. 16; no. 2; pp. 96 - 112 |
---|---|
Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
昭和大学・昭和歯学会
1996
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0285-922X |
Cover
Summary: | 骨組織が正常な生理的機能を維持するには, 日常生活における運動や歩行, あるいは血流や重力など様々な機械的刺激(メカニカルストレス)が必要であると考えられており, その適応性を明らかにすることは骨の成長において重要である. 今日までに, 細胞に機械的刺激を負荷する装置として様々なものが考案されているが, 多くは単層培養系で2次元的な外力を負荷するものである. 本研究では従来のナイロンメッシュを支持体としたコラーゲンゲル包埋培養法を基本に, 新たに開発した改良型伸展力反復負荷装置を用いて3次元的な機械的外力を加え, 機械的刺激に対する骨系細胞の応答性を検討した. 実験方法は, 1日齢ラット頭蓋冠由来の骨系細胞を, ナイロンメッシュを支持体としたコラーゲンゲルに封入し, 10%FBS含有αMEM培地で24時間前培養後, 伸展量10%, 伸展周期1Hz(60回/分), 15,30分および1時間の機械的外力を1日に3回断続的に負荷した. 実験群は伸展力を負荷するstretched群と培養液中を水平移動するshaken群, 伸展も移動もしないstationary群の3群に設定した. 前培養終了後, および機械的外力負荷開始後, 4および6日目に試料を採取し, DNA量, ALPase活性とPGE2産生量を測定した. また, 各群にPGE2合成阻害薬であるindomethacin(IND・10^-6 M)を添加して細胞増殖に対するPGE2の関与について検討した. 伸展周期1Hzの機械的刺激を1日3回, 15または30分間負荷したときに, stretched群において, DNA量は増加したがALPase活性は上昇しなかった. すなわち機械的刺激により細胞増殖が促進され, 分化段階への移行が抑制されたことが示唆された. PGE2量は機械的刺激によりstretched群で伸展負荷開始3日目以降で有意に増加した. IND(10^-6 M)を添加したstretched群, stationary群ともにDNA量は有意に減少したことから, 内因性PGE2の合成阻害により, 細胞増殖は抑制される. |
---|---|
ISSN: | 0285-922X |