Ti含有Co-Cr合金の補綴領域への応用

コーヌス・テレスコープは審美性の高揚を図るため陶材の適用が望まれているが, 現在十分使用可能なコーヌス・テレスコープ用陶材焼付用合金は開発されていない. そこで, 我々は新しく陶材焼付用合金を開発するため, 0~10%のTiを含有するCo-Cr合金を試作し検討したところ, Ti2%を含むCo-Cr合金が有用であることが分かった. 更に, 陶材焼付性を向上させることを目的として微量元素Zr, V, W, Bを添加した. その結果, Zr添加が有効であることが分かった. 今回はZrの添加量を変化させることによりどのような影響が生じるかを検索する目的で, 機械的特性, 陶材焼付性について検討した....

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Published in昭和歯学会雑誌 Vol. 12; no. 1; pp. 85 - 86
Main Authors 松尾有香, 瓜田真久, 松山忠司, 万代倫嗣, 小柳一哉, 芝彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学・昭和歯学会 1992
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Summary:コーヌス・テレスコープは審美性の高揚を図るため陶材の適用が望まれているが, 現在十分使用可能なコーヌス・テレスコープ用陶材焼付用合金は開発されていない. そこで, 我々は新しく陶材焼付用合金を開発するため, 0~10%のTiを含有するCo-Cr合金を試作し検討したところ, Ti2%を含むCo-Cr合金が有用であることが分かった. 更に, 陶材焼付性を向上させることを目的として微量元素Zr, V, W, Bを添加した. その結果, Zr添加が有効であることが分かった. 今回はZrの添加量を変化させることによりどのような影響が生じるかを検索する目的で, 機械的特性, 陶材焼付性について検討した. 試料は73Co-20Cr-5Mo-2Tiを母材とし, Zrをそれぞれ外割り05%, 10%, 15%添加した. 測定項目は, 機械的特性としては融点, 酸化増量, 熱膨張, 比重, ビッカース硬度, 破折強度, 比例限, ヤング率, 引張強度, 伸びについて測定した. また, 陶材焼付性は, 圧縮側と引張側の3点曲げ試験を行い陶材焼付強度とした. その結果, 以下の結論を得た. 1. 酸化増量はZr添加量の増加により, 減少した. 2. ビッカース硬度はZr添加量の増加により, 減少した. 3. 破折強度および引張強度はZr0.5%添加により増加したが, さらに添加量を増やした場合減少し, 添加量間に相関は認められなかった. 4. ヤング率はZr添加量の増加により, 著しく減少した. 5. 陶材焼付強度はZr添加により増加し, ディギャッシング条件が1,050℃減圧で最も大きな値を示したが, 添加量を増やした場合, やや減少傾向を示した. これは, ディギャッシング時のZrの選択的酸化による酸化物層の増加により, 酸化物層間での剥離が生じたためと考えられた.
ISSN:0285-922X