巻頭言 書くということ

私たちは職業柄, ものを書くことが多いといえます. 例えば, 診療録, これは書く順番が指定されています. それに沿って事実を客観的に記載します. 入院時のサマリーや画像検査依頼文は現病歴や処置を要約し, 読み手にすぐに伝わる文章にします. 症例報告ではこれに論文考察を加えます. 以上は多少の経験と努力で誰でも上手に書けるようになります. 一方, 学術論文では「導入」で仮説ないし目的とその背景を, 「考察」で実験結果をもとに自分の考えを主張することになります. 背景を十分理解し, 立場を相対的に把握した研究であれば, 読者への説得力は保証されます. 特別の技術はここでは不要なようですが, 実際...

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Bibliographic Details
Published inDental Medicine Research Vol. 33; no. 1; p. 1
Main Author 岡野友宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学・昭和歯学会 31.03.2013
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Summary:私たちは職業柄, ものを書くことが多いといえます. 例えば, 診療録, これは書く順番が指定されています. それに沿って事実を客観的に記載します. 入院時のサマリーや画像検査依頼文は現病歴や処置を要約し, 読み手にすぐに伝わる文章にします. 症例報告ではこれに論文考察を加えます. 以上は多少の経験と努力で誰でも上手に書けるようになります. 一方, 学術論文では「導入」で仮説ないし目的とその背景を, 「考察」で実験結果をもとに自分の考えを主張することになります. 背景を十分理解し, 立場を相対的に把握した研究であれば, 読者への説得力は保証されます. 特別の技術はここでは不要なようですが, 実際には研究の位置づけと実験内容, 結果の解釈で, 自分の考えを理解してもらうための説明力が文章で求められます. 最近は文章を書かない人が増えましたし, また読み手は長文を嫌います. かつて小学校では夏休みに日記を書くように勧めていました.
ISSN:1882-0719