脳腫瘍における術中thermography

最近, 悪性腫瘍に対する温熱療法(hyperthermia)が再び注目を集めている9). 脳はきわめて血流量豊富な臓器で, 局所加温による温熱療法に適すると考えられている8)が, 腫瘍存在下での脳皮質や腫瘍自身の温度環境あるいは血行循環動態についての詳しい検討はなされていない. 我々は赤外線スキャナー(thermography)を利用し, 脳表冷却(温度負荷)後の脳表温度回復曲線からコンピューター処理および画像再構築法により脳皮質血流量を測定する方法を開発した2). 今回, 脳腫瘍に対する温熱療法の基礎的研究の一つとして, 脳腫瘍開頭時に超音波診断装置により腫瘍局在部位を確定したのち, the...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 27; no. 11; pp. 1033 - 1038
Main Authors 古賀博明, 森和夫, 小野博久, 桑原正憲, 松瀬悦朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1987
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Summary:最近, 悪性腫瘍に対する温熱療法(hyperthermia)が再び注目を集めている9). 脳はきわめて血流量豊富な臓器で, 局所加温による温熱療法に適すると考えられている8)が, 腫瘍存在下での脳皮質や腫瘍自身の温度環境あるいは血行循環動態についての詳しい検討はなされていない. 我々は赤外線スキャナー(thermography)を利用し, 脳表冷却(温度負荷)後の脳表温度回復曲線からコンピューター処理および画像再構築法により脳皮質血流量を測定する方法を開発した2). 今回, 脳腫瘍に対する温熱療法の基礎的研究の一つとして, 脳腫瘍開頭時に超音波診断装置により腫瘍局在部位を確定したのち, thermographyにより対応する脳表各所の温度分布や温度負荷による脳表温度の回復過程を観察し, 脳皮質血流量の検討を行ったので報告する.
ISSN:0470-8105