両側性外傷性内頸動脈海綿静脈洞瘻の1例
I 緒言 外傷性内頸動脈海綿静脈洞瘻(以下CCF)は頭部外傷に起因する内頸動脈の海綿静脈洞部損傷により生じる疾患であり, 多くは緑内障や汎眼球炎を続発し, 失明に至ることも少なくない. したがってなんらかの治療が必要となるが, いまだ確定した方法はない. 最近私どもは, 比較的まれな両側性の外傷性CCFの症例を経験し, Debrunのdetachable balloon catheterを用いて根治しえた. 本症例は外傷性CCFに対してdetachable balloon catheterを用いて治療する際の問題点を提起しているものと考えられるので, その詳細を報告する. II 症例 <...
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Published in | Neurologia medico-chirurgica Vol. 27; no. 5; pp. 447 - 450 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本脳神経外科学会
1987
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Summary: | I 緒言 外傷性内頸動脈海綿静脈洞瘻(以下CCF)は頭部外傷に起因する内頸動脈の海綿静脈洞部損傷により生じる疾患であり, 多くは緑内障や汎眼球炎を続発し, 失明に至ることも少なくない. したがってなんらかの治療が必要となるが, いまだ確定した方法はない. 最近私どもは, 比較的まれな両側性の外傷性CCFの症例を経験し, Debrunのdetachable balloon catheterを用いて根治しえた. 本症例は外傷性CCFに対してdetachable balloon catheterを用いて治療する際の問題点を提起しているものと考えられるので, その詳細を報告する. II 症例 <患者>39才, 男性 現病歴:1984年9月26日, 交通事故に遭い, 頭部X線写真で頭蓋底・顔面骨骨折が認められた. 数日後, 両眼の拍動性眼球突出が出現し, 両眼窩部に血管雑音が聴取された. 11月7日, 外傷性CCFを疑われて当科に入院した. |
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ISSN: | 0470-8105 |