術後血管写上でのSTA-MCAバイパス血流分布領域

虚血性脳血管障害に対する外科的治療法として1967年にDonaghy 6), Yasargil 30)によって行われた頭蓋外内血管バイパス造設術, すなわち浅側頭動脈―中大脳動脈吻合術(以下STA-MCA吻合術)は, 今日では広く世界各国で行われている. 本手術の適応とその効果に関しては多くの報告があり, その有効性は我々も認めるところであるが, 現在randomized studyとして国際的にcooperative studyが行われており, 最終的な評価はその結果を待たねばならない. STA-MCA吻合術を受けた患者の術後経過や予後に関与する因子としては, 脳主幹動脈の狭窄や閉塞の程度な...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 25; no. 12; pp. 981 - 988
Main Authors 岩田吉一, 中村俊文, 早川徹, 最上平太郎, 御供政紀, 河合隆治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1985
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Summary:虚血性脳血管障害に対する外科的治療法として1967年にDonaghy 6), Yasargil 30)によって行われた頭蓋外内血管バイパス造設術, すなわち浅側頭動脈―中大脳動脈吻合術(以下STA-MCA吻合術)は, 今日では広く世界各国で行われている. 本手術の適応とその効果に関しては多くの報告があり, その有効性は我々も認めるところであるが, 現在randomized studyとして国際的にcooperative studyが行われており, 最終的な評価はその結果を待たねばならない. STA-MCA吻合術を受けた患者の術後経過や予後に関与する因子としては, 脳主幹動脈の狭窄や閉塞の程度ならびに部位, 虚血脳への側副血行の発達程度, 虚血発作から手術までの期間, 梗塞巣を有する場合にはその病巣部位, 吻合部位と吻合を介する供給血液量とその分布領域など, さまざまのものがある. STA-MCA吻合術で代表される頭蓋外内血管吻合術の目的が外科的に造設した側副血行路を通じての虚血脳に対する血液供給である以上, dcmorarteryとしてのSTAからの供血が十分であることが望ましいと考えられる.
ISSN:0470-8105