肝癌の脳転移例

肝癌は, 南アフリカ, 東南アジア, 台湾, 日本, 太平洋諸島を好発地域とし, 肝硬変, 血清HBs抗原陽性, α-fetoprotein高値との関連が強いと言われる4). また, 本邦の全国統計によれば肝癌は全転移性腫瘍中の0.7%を占めるにすぎず8), その中枢神経系への転移例を扱った文献は少ない. 今回, 腫瘍内出血を起点とし, 脳卒中様症状で発症した肝癌の脳転移例を経験したので, その放射線学的所見, 剖検所見について述べ, 肝癌の中枢神経系への転移, 腫瘍内出血について若干の考察を加える. 症例 <患者>47才, 男性 既往歴:慢性関節リウマチ, 原因の明らかでない鼻出...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 24; no. 12; pp. 969 - 973
Main Authors 大野正弘, 杉山尚武, 三沢郁夫, 津田洋行, 中西敬介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1984
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Summary:肝癌は, 南アフリカ, 東南アジア, 台湾, 日本, 太平洋諸島を好発地域とし, 肝硬変, 血清HBs抗原陽性, α-fetoprotein高値との関連が強いと言われる4). また, 本邦の全国統計によれば肝癌は全転移性腫瘍中の0.7%を占めるにすぎず8), その中枢神経系への転移例を扱った文献は少ない. 今回, 腫瘍内出血を起点とし, 脳卒中様症状で発症した肝癌の脳転移例を経験したので, その放射線学的所見, 剖検所見について述べ, 肝癌の中枢神経系への転移, 腫瘍内出血について若干の考察を加える. 症例 <患者>47才, 男性 既往歴:慢性関節リウマチ, 原因の明らかでない鼻出血と乏尿で入院治療を受けたことがある. 5年前に肝硬変と診断され, 他院にて通院治療を受けていた. 高血圧, 糖尿病の既往はない.
ISSN:0470-8105