小脳橋角部腫瘍により生じた三叉神経痛

最近, 三叉神経痛を初発症状とした三叉神経神経鞘腫と類上皮腫の各1例を経験した. 症例1:53歳男性. 異型三叉神経痛を呈し感覚低下, 角膜反射消失, 咬筋筋萎縮がみられた. 三叉神経運動根から発生しMeckelのcave内に進展した直径7mmの神経鞘腫であった. 症例2:33歳女性. 神経学的欠損を示さない典型的三叉神経痛の症例で, 小脳橋角部を中心に視床下部下面から頸静脈孔付近まで進展した類上皮腫であった. 2症例は三叉神経以外の神経症状がなく, 放射線学的には頭蓋単純写, 断層撮影に異常なく高解像度CT及びmetrizamide CT脳槽造影が診断の決め手となった. 三叉神経痛にneur...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; p. 255
Main Authors 坂田修治, 福井仁士, 松原俊幸, 松島俊夫, 井上亨, 蓮尾金博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1983
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Summary:最近, 三叉神経痛を初発症状とした三叉神経神経鞘腫と類上皮腫の各1例を経験した. 症例1:53歳男性. 異型三叉神経痛を呈し感覚低下, 角膜反射消失, 咬筋筋萎縮がみられた. 三叉神経運動根から発生しMeckelのcave内に進展した直径7mmの神経鞘腫であった. 症例2:33歳女性. 神経学的欠損を示さない典型的三叉神経痛の症例で, 小脳橋角部を中心に視床下部下面から頸静脈孔付近まで進展した類上皮腫であった. 2症例は三叉神経以外の神経症状がなく, 放射線学的には頭蓋単純写, 断層撮影に異常なく高解像度CT及びmetrizamide CT脳槽造影が診断の決め手となった. 三叉神経痛にneuro vascular decompressionが行われるようになったため小さな小脳橋角部腫瘍の発見が増加し, 精密な術前診断が要求される. それにはCT, 血管造影の注意深い読影とmetrizamide脳槽造影が有用である.
ISSN:0470-8105