第四脳室出口の膜様閉塞による水頭症3例について
第四脳室出口の膜様閉塞による水頭症3例を経験した. 4歳男児例は頭蓋内圧亢進症状と小脳失調, 68歳男性例は進行性の歩行障害, 34歳女性例は頭痛を主症状とした. CT scanで全脳室系の拡大を認め, 特に第四脳室拡大が顕著であった. 脳室造影や気脳写で第四脳室出口の閉塞が確認された. 全例に後頭下開頭術を行った. Dandy-Walker奇形はなく, Magendie孔を閉塞した膜様物の切開除去を行った. 膜は主に結合織からなり, 術中所見からも病因を示唆するものは得られなかった. 文献例と総合すると, 小児例では頭蓋内圧亢進症状と小脳症状, 成人例では頭痛を主症状とすることが多く, 初発...
Saved in:
Published in | Neurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; p. 250 |
---|---|
Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本脳神経外科学会
1983
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0470-8105 |
Cover
Summary: | 第四脳室出口の膜様閉塞による水頭症3例を経験した. 4歳男児例は頭蓋内圧亢進症状と小脳失調, 68歳男性例は進行性の歩行障害, 34歳女性例は頭痛を主症状とした. CT scanで全脳室系の拡大を認め, 特に第四脳室拡大が顕著であった. 脳室造影や気脳写で第四脳室出口の閉塞が確認された. 全例に後頭下開頭術を行った. Dandy-Walker奇形はなく, Magendie孔を閉塞した膜様物の切開除去を行った. 膜は主に結合織からなり, 術中所見からも病因を示唆するものは得られなかった. 文献例と総合すると, 小児例では頭蓋内圧亢進症状と小脳症状, 成人例では頭痛を主症状とすることが多く, 初発から入院までの期間は小児で数ヵ月, 成人で数年のことが多かった. 病因のはっきりしない閉塞性水頭症の中に第四脳室出口の膜様閉塞によるものが存在し, 膜様物形成の原因として以前の不顕性の髄膜炎やクモ膜下出血等が関与しているのではないかと推測した. |
---|---|
ISSN: | 0470-8105 |