眼窩より穿通した脳内異物による脳膿瘍の1例
症例は54歳女性. 1983年4月25日, 転倒し左上眼瞼部に創を生じた. 神経学的に著変なく近医で創縫合を受けた. 1週間後から創部より膿排出あり持続した. 5月14日当科入院. 頭蓋単純撮影, 断層撮影で異常所見を認めなかった. CT scanでは眼窩内に棒状のCT値-77の低吸収域を認め, 左前頭葉内にも同様の低吸収域があり, これを取り囲むリング状の造影効果がみられた. ウインドレベルを上げることにより左眼窩上壁に小骨折の所見を得た. 左眼瞼創からの膿培養により緑膿菌, 嫌気性グラム陰性桿菌が同定された. 眼窩内に遊離し存在した竹片を摘出し, その2週間後に開頭により左前頭葉内の竹片と...
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Published in | Neurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; p. 247 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本脳神経外科学会
1983
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ISSN | 0470-8105 |
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Summary: | 症例は54歳女性. 1983年4月25日, 転倒し左上眼瞼部に創を生じた. 神経学的に著変なく近医で創縫合を受けた. 1週間後から創部より膿排出あり持続した. 5月14日当科入院. 頭蓋単純撮影, 断層撮影で異常所見を認めなかった. CT scanでは眼窩内に棒状のCT値-77の低吸収域を認め, 左前頭葉内にも同様の低吸収域があり, これを取り囲むリング状の造影効果がみられた. ウインドレベルを上げることにより左眼窩上壁に小骨折の所見を得た. 左眼瞼創からの膿培養により緑膿菌, 嫌気性グラム陰性桿菌が同定された. 眼窩内に遊離し存在した竹片を摘出し, その2週間後に開頭により左前頭葉内の竹片と共に被膜を有する膿瘍を全摘した. なんらの神経症状を残さなかった. 脳内の木片異物の検索及び小さな頭蓋骨骨折の診断にはCT scanが有用であることを強調した. |
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ISSN: | 0470-8105 |