脳血管障害後振戦に対する定位的視床手術の意義について

症例は18~71歳(平均43歳)の男性3例, 女性1例, 計4例. 脳血管障害は臨床症状及びCT所見から中脳を含む脳幹の出血が3例, 梗塞が1例であった. そのうち1例は中脳視蓋部のAVMがみられ, その破綻による出血が考えられた. 振戦は発作後2~6ヵ月に麻痺肢に出現し, 頻度は3~3.5Hzであった. 全例にV.im核の凝固を行ったが, 運動時に振戦が残った2例はV.op核の凝固を付加した. 術後振戦は消失または著減し, 術前不可能であった機能訓練を開始した. 術後1~28ヵ月(平均14ヵ月)の現在も振戦の増強はなく, ADLは著明に改善された. 脳血管障害後の振戦は薬物療法で抑制するのは...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; p. 236
Main Authors 島史雄, 中垣博之, 北村勝俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1983
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Summary:症例は18~71歳(平均43歳)の男性3例, 女性1例, 計4例. 脳血管障害は臨床症状及びCT所見から中脳を含む脳幹の出血が3例, 梗塞が1例であった. そのうち1例は中脳視蓋部のAVMがみられ, その破綻による出血が考えられた. 振戦は発作後2~6ヵ月に麻痺肢に出現し, 頻度は3~3.5Hzであった. 全例にV.im核の凝固を行ったが, 運動時に振戦が残った2例はV.op核の凝固を付加した. 術後振戦は消失または著減し, 術前不可能であった機能訓練を開始した. 術後1~28ヵ月(平均14ヵ月)の現在も振戦の増強はなく, ADLは著明に改善された. 脳血管障害後の振戦は薬物療法で抑制するのは困難なことが多く, 麻痺肢の機能訓練を不可能にするため定位的視床手術は大変有効であると思われた.
ISSN:0470-8105