Tethered cord syndromeを呈した仙骨部脊髄髄膜瘤の1例

症例は33歳男性で, 出生時より仙骨部に腫瘤を認めていたが放置していた. 膀胱直腸障害, 頭痛あり. 16歳時に左下肢の麻痺が出現し, 26歳時に右下肢に麻痺を認めた. 31歳時には頭痛が次第に増強してきたため, CT検査を受け著明な水頭症を認め, V-P shunt術を受けた. 33歳になって両下肢の疼痛と歩行時の脱力が増強してきたため入院した. 腰椎単純撮影では第1仙椎以下に骨欠損を認めた. Metrizamide CT myelographyでは第5腰椎の高さに至るconus medullarisと, それよりでるnerve rootが確認できた. 手術所見では白濁, 肥厚したクモ膜に包...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; pp. 232 - 233
Main Authors 石坂博昭, 桑原正憲, 萬木二郎, 中村泰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1983
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Summary:症例は33歳男性で, 出生時より仙骨部に腫瘤を認めていたが放置していた. 膀胱直腸障害, 頭痛あり. 16歳時に左下肢の麻痺が出現し, 26歳時に右下肢に麻痺を認めた. 31歳時には頭痛が次第に増強してきたため, CT検査を受け著明な水頭症を認め, V-P shunt術を受けた. 33歳になって両下肢の疼痛と歩行時の脱力が増強してきたため入院した. 腰椎単純撮影では第1仙椎以下に骨欠損を認めた. Metrizamide CT myelographyでは第5腰椎の高さに至るconus medullarisと, それよりでるnerve rootが確認できた. 手術所見では白濁, 肥厚したクモ膜に包まれたconusとnerve rootを認め, nerve rootはクモ膜に強く癒着し, しかも水平走向を呈していた. 第5腰椎の高さまで牽引されたconus及びplacordをfreeにすると, piacordは約1.5cm上方に移動した. 術後両下肢痛の軽減と麻痺の進行は防止できたが, 麻痺の状態は術前とほぼ同じであった.
ISSN:0470-8105