乳児脳腫瘍の1例

症例は3ヵ月女児. 妊娠, 分娩に異常なく出生. 頭囲は36.5cmであった. 出生直後より痙攣発作出現し, 頭囲の拡大が進行性であった. 生後64日目のCT scanで左大脳半球に巨大な腫瘍が認められ, 生後99日目に当科へ入院となった. 頭囲48cm, 縫合の難解, 精神発達遅延, 右不全片麻痺が存在した. 生後101日目のCT scanでは, 左大脳半球全体に低~高吸収域が混在し軽度造影効果が認められた. 脳血管撮影では腫瘍陰影, 腫瘍血管などは認めなかった. 左前頭葉の部分切除を行った. 組織所見は神経細胞とグリア細胞とがさまざまの密度で混在したgangliogliomaであった. グ...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; p. 229
Main Authors 高田明, 永広信治, 松角康彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1983
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ISSN0470-8105

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Summary:症例は3ヵ月女児. 妊娠, 分娩に異常なく出生. 頭囲は36.5cmであった. 出生直後より痙攣発作出現し, 頭囲の拡大が進行性であった. 生後64日目のCT scanで左大脳半球に巨大な腫瘍が認められ, 生後99日目に当科へ入院となった. 頭囲48cm, 縫合の難解, 精神発達遅延, 右不全片麻痺が存在した. 生後101日目のCT scanでは, 左大脳半球全体に低~高吸収域が混在し軽度造影効果が認められた. 脳血管撮影では腫瘍陰影, 腫瘍血管などは認めなかった. 左前頭葉の部分切除を行った. 組織所見は神経細胞とグリア細胞とがさまざまの密度で混在したgangliogliomaであった. グリア細胞は主にgemistocytic astrocyteが主体であった. 電顕では神経細胞の原形質内にdense core vesicleを多数認めた. 現在放射線治療を行いながら経過観察中である.
ISSN:0470-8105